嚥下障害者への栄養介入は何をゴールとする?ポイント3つ

老化と摂食嚥下障害「口から食べる」を多職種で支えるための視点

昨日に引き続き、嚥下障害の重症度別に分けた、栄養管理・介入についてまとめていきます。

重症嚥下障害者の栄養管理については、昨日のブログでまとめたので、よければそちらもご覧ください

栄養管理の方法:嚥下障害の重症度別に考える
1.脳卒中後の重症嚥下障害(回復を期待する場合)は早期に摂食嚥下介入することが重要*ごく限られた条件下でのみ経口摂取が可能であるor全く経口摂取が不可能な場合と定義する・わが国の脳卒中患者を対象とした研究にて、早期...

1.中等症摂食嚥下障害の栄養管理は食事場面での対応が重要

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・中等症の摂食嚥下障害の定義は「代替栄養法は不要だが食形態の厳密な調整、食事場面の姿勢調整に特別な注意を払わなければならない状態」とする

・摂食嚥下機能に異常をもつ人へ対し、誤嚥性合併症リスクをコントロールしながら摂取量を確保するためには、食事場面での対応に注意する

【食事場面での注意点】

①口腔機能を評価し、咀嚼に問題があれば歯科介入を考慮

②口腔機能と嚥下機能に見合った食形態であるかの評価

③食事中の姿勢について、誤嚥リスクが高い頭頚部ポジションや不適切なシーティングを強いてないか検討

④必要に応じて背もたれを利用する必要がないかの検討

食事介助者の技術が未熟でなはいか自省する

・日中臥床して過ごすと、体幹や嚥下関連筋への荷重は減少し、体幹の筋だけでなく嚥下運動に重要な頸部への筋へも悪影響がある

「食事は3食経口摂取しているが、何かしらの注意点やリスクがある状態という方は入院患者にも多々います。

言語聴覚士など、嚥下評価依頼がくる場合、この状態の方がとても多いのではないでしょうか?

まず咀嚼機能の評価は重要で、食事形態UPをする際に最も注意して観察しています。

特に刻み食から一口大(サイコロ状)へUPするときには、一気に咀嚼の重要性が増し、咀嚼が不十分のまま形態UPをすると、窒息のリスクがあります。

そしてそもそも、歯がしっかり揃っているか、義歯はグラグラせず合っているかなども、必ず見るべきポイントです。

不適合な義歯は、かえって咀嚼運動を邪魔する可能性すらあるので、合っていないときは早めに歯科受診へつなぐことが必要です。

そしてたまに無歯顎で入院し、元々無歯顎で普通のご飯を食べていたという方がいますが、その場合皆さんはどうしているのか気になります。笑

あとは姿勢も、椅子と机が離れすぎて前傾で食べていることで頸部伸展していたり、座高に比べて机が低すぎて下を向いて食べており、食塊の送り込みが大変そうな場合もあります。

食べる際の理想の姿勢は以外と知られておらず、リクライニングなどにするとよく、寝ながら食べさせていいの?と質問をされます。

その都度丁寧に伝えながら、いずれは知識が浸透し、自然と行ってもらうるように、みんなで知識共有していけると強いですよね。」

また、食事介助の未熟により誤嚥が起きるということも、忘れてはいけない点かなと思います。」

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2.軽症摂食嚥下障害はサルコペニア進行予防に主眼を置いた栄養管理を行うべき

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・軽症の摂食嚥下障害をここでは「食形態の厳密な調整は不要だが、水分にとろみが必要、または特定の食材を摂食することを禁止されている状態」と定義する

・サルコペニア進行予防の基本は、十分なタンパク質運動であり、一日のタンパク質摂取量は1.0~1.2g/kgを目安とする

・管理栄養士による栄養指導、外出機会などの社会参加、セルフケアを維持するために屋内体操を指導するなどが有効

「高齢になっていくと、歯の損失や咀嚼能力の衰えから、硬い食べ物を避けるようになるので、たんぱく質摂取も不足しやすいです。

もちろん食材から意識してたんぱく質を取るのも一つですが、安全なサプリメントを用いるのも今後は良いのかなと思います。

それこそ高齢者用プロテインとかあれば、いずれ親に勧めたいです。

そしてフレイル予防は何より社会参加が重要なので、入院患者さんであれば退院をゴールとせず、退院後の社会参加まで繋げられればベストですね。」

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3.摂食嚥下障害者への栄養介入は、栄養量を確保できたこと、設定したアウトカムを達成したことで判定すべきなのかもしれない

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・摂食嚥下障害者の栄養介入効果判定は体重や骨格筋量、脂肪量の増加をみるのが最も信頼性が高いと思われるが、効果判定には月単位のスパンが必要

「入院中の高齢者に対する栄養介入の効果判定は、疾病による体重減少もあり、体重や体組成だけでみると失敗しているようにも見えるそうです。

逆にアルブミン値だけみても、炎症状態と反比例するので、疾病治療ができればみかけ上、成功にみえるそうです。

そのため、一律に基準を決めることが難しいという点があります。

指標の一つとして、これらの数値を見ることは良いと思いますが、それだけで栄養状態を評価できないということは、覚えておくべき点ですね。

最終的なゴールはADLの向上、自立支援なので、そこで立てた目標が達成できているかという視点は、栄養介入でも重要だそうです。

木をみて森を見ずにならないように、患者さんの全体像は常に把握できる医療者になれると良いですよね。」

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【まとめ】

◎中等症摂食嚥下障害の栄養管理は食事場面での対応が重要

◎軽症摂食嚥下障害はサルコペニア進行予防に主眼を置いた栄養管理を行うべき

◎摂食嚥下障害者への栄養介入は、栄養量を確保できたこと、設定したアウトカムを達成したことで判定すべきなのかもしれない

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本日の引用は

Amazon.co.jp

でした!

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