この大項目では主要な研究者名に関する理解が求められます!各心理学分野が何を重視しているのか、どのようなことを研究する分野なのかを中心に、概要を理解しましょう!
*ここでは研究者名に注目して解説していきます。どの研究者がどの大枠の心理学に含まれているのかを理解していけると良いと思います!
□公認心理師試験対策の勉強を移動中や外出中にも手軽にしたい
□ブループリントのキーワードをしっかり覚えたい
□過去問は大体解けるけど本当に理解できているか確かめたい
という方は当サイトをブックマーク登録・またはホーム画面に追加して、隙間時間に勉強できるようにご活用ください!
YouTube・スタンドFMでこの記事の音声配信も行っているので
耳での学習を希望する方は以下のリンクからご活用ください😌
□心理学・臨床心理学の成り立ち
1、要素主義
・ヴントが創始者で後継者はティチナー
*ティチナーがアメリカで構成主義心理学に発展させた
・ドイツのライプチヒ大学に世界初の心理学実験室が誕生
いわゆる心理学の誕生の瞬間ですね!ヴントは、人間の意識も、感情や感覚など様々な要素の結合で作られることを想定したことから、要素主義と呼ばれます!
・意識を分析対象とし、内観療法によるデータ収集を目指した
内観法は簡単にいうと、第3者に意識内容を報告させる手法です。個人の経験や観察で理論を構築するのではなく、第3者の報告を元に理論を構築することで、科学としての客観性が確保されるとヴントは考えたそうです。
つまり、客観的なデータを収集することで、科学的に理論を構築する学問として誕生したのが心理学であり、今もこの基本理念は続いています!
・意識は純粋感覚と単純感情という2種類の構成要素の総和として成り立っていると考え、これらの要素を結合して意識を成立させる心的作用を仮定し、それを統覚と呼んだ
そしてこの後、ヴントの心理学を批判する形で、心理学は様々な広がりを見せていきます!
ヴントによる心理学の誕生以降に主流となった3つの心理学派を心理学の3大潮流と言い、第1に、要素に分解したヴントに対し、要素の全体性に注目したゲシュタルト心理学。第2に、内観法を用いたヴントに対し、行動の観察によるデータ収集を行なった行動主義。第3に、意識に注目したヴントに対し、無意識の探究を重視した精神分析学があります!
2、ゲシュタルト心理学
・ウェルトハイマーが創始者であり、ストロブスコープを用いた仮現運動の研究が発端であるとされている。
・要素に還元できない全体性(ゲシュタルト)の持つ情報に注目した
・プレグナンツの法則、移調の法則などを提唱し、人間の知覚機能は個別の刺激に対する感覚の寄せ集めではなく、現象全体として認識していることを明らかにしようとした
⇨「プレグナンツの法則」:事物や図形を知覚したり,記憶したりする際に,それらが,そのときの条件の許すかぎり,簡潔化された規則的な形態ないし構造をもつものとして把握される傾向があることをさす。 M. ウェルトハイマーによって提出された一般的原理で,簡潔化の法則とも呼ばれる。
この記事がわかりやすかったです!
⇨三角形はその色や大きさを変えても,3辺がある関係に保たれる限りは三角形に見えるし,あるメロディを移調しても,同じメロディに聞こえる。 このような特性を「移調可能性」とよび,全体を構成する部分や要素が変わっても,一つの全体はあるまとまりとしての性質すなわちゲシュタルト性質をもつと主張した。
【代表的な人物】
・ケーラー:洞察学習の理論
・レヴィン:葛藤(コンフリクト)、場理論
・レヴィンの集団力学に発展し、同時期のアッシュやフェスティンガーと共に、社会心理学の発展に貢献した
3、精神分析学
・フロイトが創始者
・無意識に抑圧された心的外傷と、性的エネルギー(リビドー)の働きに注目した
意識だけでなく、無意識に注目した考え方です!
・過去を重視する
【代表的な人物】
・ユング:集合的無意識、元型、夢分析で知られ、箱庭療法の源流となった
*夢分析とは深層心理学において、無意識の働きを意識的に把握するための技法です。
・アドラー:劣等感と補償で知られ、人間性心理学の源流となった。またフロイトの共同研究者であり、器官劣等に基づく優越性への意思に関する研究で有名
人間性心理学:主体性・創造性・自己実現といった人間の肯定的側面を強調した心理学の潮流である。それまで支配的であった精神分析や行動主義との間に1960年代に生まれた第三の心理学とされる。
・アンナ・フロイト(フロイトの末子(第6子)):自我の防衛機制の体系化
⇨精神分析(児童分析)を発展させ、そのために用いられたのが遊戯療法である。児童は自我が未熟であるために分析の対象にはなりにくいとされ、遊戯療法も遊びに象徴される無意識を分析するのではなく、児童との信頼関係を作り、主に親を通じた働きかけを目指すためのものであった。
*その点において対象的な立場をとったのがクラインの遊戯療法で、児童の自我を認め、遊戯に象徴として現れる内面をとらえることを目指していた
・エリクソン:自我同一性とライフサイクル論
・クライン:対象関係論
4、行動主義
・ワトソンが創始者
⇨条件反射の研究を心理学に取り入れ、アルバート坊やの実験を行なった。
・意識など観察不可能な概念ではなく、観察可能な行動に注目した
・刺激(S)と反応(R)の関係に注目したことから、SR心理学とも呼ばれる
・科学的であることを強く主張する
・環境を重視する
ワトソンは、要素主義が「意識」という観察不能な概念を研究対象としていることを批判しました。
観察不能な概念を扱っている以上、そこに客観性や科学性は存在しないとし、観察可能な「行動」のみを研究対象とすべきと述べました。
このことから、ワトソンの心理学は行動主義と呼ばれました!
*また、アイゼンクは精神分析に反対する立場から行動療法を提唱したことで有名。神経症は不適切な学習によって生じると考えた。
5、新行動主義
・ワトソン以降の行動主義学派
ワトソン以降も行動主義に基づく様々な研究者が登場し、彼らは新行動主義と呼ばれました!
【代表的な人物】
・トールマン:サイン・ゲシュタルト理論。行動の原理として認知の働きを重視した
・ハル:動因低減説
【スキナー】:オペラント条件付け理論。
・SOR理論などが代表的、Oは媒介変数(刺激と反応の間に生体や動因・認知を位置付けた)
・行動は全て刺激に対する反応であるというSR理論を徹底し、ワトソンの正当な後継者と言われる
・プログラム学習を考案し、その 学習プロセスを自動的に実行できるティーチングマシンによる教育を提唱した。
・また、不適応行動の消去、適応行動の再学習による行動の修正を目指す行動療法を提唱した人物の1人であり、臨床心理学に対する貢献も大きい
6、認知心理学
・行動主義の観察可能性を最重視するアプローチに対するアンチテーゼとして、心的過程に再注目した心理学派
・心的過程は情報処理過程であるという考え方に基づいている
・ミラーの記憶研究やブルーナーの思考研究など、人間の情報入力・処理・出力のシステムに関する研究が積み上げられ、その後ナイサーが「認知心理学」という書を記した
・アフォーダンス理論(Affordance):アメリカの心理学者J・J・ギブソンが提唱した、認知心理学における概念。 これは「与える・提供する」という意味の「アフォード(afford)」という言葉から名付けられた造語で、物が持つ形や色、材質などが、その物自体の扱い方を説明しているという考え方。
出典:より使いやすいデザインにする「アフォーダンス」って?
7、認知神経科学
・心理学と神経科学の知見を融合し、脳機能画像や脳波測定などの技術も活用しながら、人や動物の様々な認知様式をより深く理解することを目指している
名前的に認知心理学と似ている感じもしますが、認知神経科学は「神経科学」ということで、脳機能画像や脳波測定も取り入れている点が特徴ですね!
8、科学者ー実践者モデル
・クライエントに対して援助を行う「心理臨床の専門家」であると同時に「科学的な研究者」であることからも求められる心理職の活動モデル
・調査や研究で効果が認められた査定・面接技法を用いてクライエントへの援助を行い、そこで得られた知見を再び調査・研究として扱い、臨床心理学を発展させていくことが求められている
臨床家としてだけでなく、研究を通じて心理学の発展にも寄与することを求めているというようなモデルですかね!
いわゆるこのような臨床心理学は、ヴントの元で学んでいたウィトマーから始まったと言われているそうです!
9、生物心理社会モデル
・生物学的観点、心理学的観点、社会学的観点から問題や現象を理解しようとするモデルであり、BPSモデルとも呼ばれる
・例えばうつ病であれば、
○生物学的観点:神経伝達物質(セロトニン等)の伝達異常
○心理学的観点:否定的な方向への認知のバイアス
○社会学的観点:ストレスフルな生活環境、対人関係
と考えます!
・臨床心理学では個人を理論に当てはめて理解するのではなく、個人を理解するために様々な理論を活用し、生活者としての人間一人一人に目を向ける
10、精神力動アプローチ
・無意識に抑圧され、意識化されていない体験・思考・感情・願望の探究を目指す支援
・クライエントは寝椅子に横になり、思い浮かんだ考えを否定・批判することなく話していく自由連想法に基づくアプローチが主流であったが、長期治療になることが多く、現在は主流ではない
・現在は、精神分析的な理論を背景に対面式で面接を行う精神分析的心理療法が主流
11、認知行動アプローチ
・現在の問題を構成する刺激ー反応ー結果の悪循環を把握し、介入していく支援
【代表的な人物】
・ベック:認知療法、自動思考、認知再構成
・エリス:論理情動行動療法、ABCDEモデル
【論理行動療法】
・個人の行動は出来事や経験に対する認知的評価によって起こされると考え、認知的評価を決する個人の認知的枠組み(シェマ)を変容させることが行動変容をもたらすとして、認知変容を目標とする療法
・行動の発現に結びつくシェマを「ABCシェマ」と呼び、A(出来事と経験)、B(信念)、C(結果)であり、同じ状況を経験した時の個人の行動の違いは、信念の違いによるとされる
・不適応行動の変容を目指す場合、行動そのものへのアプローチではなく、信念を変えさせることが必要となる
・信念に対するD(論駁・ろんばく=相手の説に反対して、論じ攻撃すること)をすることによって、E(効果)を得ることができるとされる
・マイケンバウム:自己教示訓練法、ストレス免疫訓練法
・バウアー:感情ネットワークモデル
不安は危険を回避する行動の動機付けを、恐れは逃走への動機付けを高める。このように、感情が様々な行動や体験と関連づけられていることを感情ネットワークモデルといいます。
12、人間性アプローチ
・人間の自主性を重視し、自己実現傾向を引き出していくことを目指す支援
・マズローによって「行動主義・精神分析に次ぐ第3勢力」として位置づけられている
【代表的な人物】
・ロジャース:クライエント中心療法
・ジェンドリン:フォーカシング
・フランクル:ロゴセラピー
・パールズ:ゲシュタルト療法
・バーン:交流分析、エゴグラム
・オールポート:人格倫理学
・マレー:欲求圧力理論
13、ナラティブ・アプローチ
・クライエントの語った自分についての物語(ドミナント・ストーリー)に、クライエントの主観的世界が反映されていると考え、援助者との対話を通して肯定的で建設的な物語へと編集していくことを目指す支援
・社会構成主義を基盤とする心理的支援
14、社会構成主義
・現実は、人々から独立してすでに存在している世界ではなく、言語を介した人々の相互交流の中から、現実が紡ぎだされるという考え方
・我々は「空が青い」と言い、実際に空が青いと思っている。だが、実際の空は青色というより水色に近い色をしている。このように社会構成主義では、言葉と認識によって構成された世界に我々は生きていると考える
・人間の活動が、文化や価値観に根ざしていると言い換えることもできる
・社会の様々な事象は人々の頭の中で作り上げられたものであり、異なる文化の下では言葉の意味する内容な感情、反応全てが異なると考え、対話を重視する。ナラティブ・アプローチはこの流れを受け継ぐもの(基礎理論)である。
□人の心の基本的な仕組みとその働き
15、感覚・知覚
・自分にとって必要な音だけを聞くことができるカクテル・パーティー効果という現象のように、感覚情報のうち、自分にとって必要な情報だけを選択して知覚が行われている(選択的知覚)
16、記憶、学習、言語、思考
・基礎理論となるのは、記憶が短期記憶と長期記憶の二段階からなるという二重貯蔵モデル(二貯蔵庫モデル)である
・心理学における学習は、新たな行動の獲得全般を指すため、運動技能や礼儀作法、日常生活における動作など、経験によって獲得される行動全てを含む
・言語は対話の道具(外言)としてだけでなく、思考の道具(内言)としての役割も持つ
17、動機付け、感情、情動
・体の水分が不足している場合、「何か飲みたい」という心理状態(動因)が喚起され、水やお茶など(誘因)をみつけて、それを飲むという行動が生じる。このように、動因が喚起され、誘因を求める行動が生じるというメカニズムを動機付けという
・不足しているものを補うための欲求(欠乏欲求)もあれば、自己実現の欲求のような成長欲求も存在する。そのため、仮に様々な欲求が満たされていても、人間は自ら刺激を求めて活動すると考えられている。
・感情が、さまざまな行動や体験と関連づけられていることを感情ネットワークモデルという。
⇨感情に関するノードがあることを仮定し、活性化拡散のメカニズムに従って、特定の感情に結びつく記憶が活性化して認知に影響与えると言う感情と認知の関係を述べた理論
例えば「喜び」という感情には「笑顔」「飛び上がる」「試合に勝つ」「恋人とデートに行く」などの行動や体験が関連づけられている。そして関連づいた行動や体験が活性化することで、判断や記憶の処理が促進するんだよ!
・感情の中でも、急激に生起し、持続時間が比較的短いものを情動と呼ぶ。
【情動の生起に関する理論】
・情動の抹消起源説:様々な身体的反応が脳にフィードバックされることで情動が生起すると考える
・情動の中枢起源説:脳の視床下部の反応が情動を生み出すと考える
・情動の2要因理論:生理的喚起と遭遇事象に対する認知的要素の組み合わせで情動の質が決定する
いずれも、情動の生起に何らかの身体的な要因が想定されており、情動は身体と密接な関係があることがわかります!
18、個人差
・心理学においては、知能検査や心理測定などを用いて個人差を把握する試みが続けられてきた
【代表的な人物】
・ゴールトン:心理学に相関係数など統計的手法を導入
・ビネー:精神年齢を測定するビネー式知能検査を開発
・キャッテル:因子分析による特性論の発展に寄与。16因子を抽出。流動性知能と結晶性知能でも知られる。
19、社会行動
・社会や環境が人間行動に与える影響を扱う領域
・代表的な理論に傍観者効果がある。多くの他者の存在により、単独的にはなされる援助介助行動が抑制される現象のこと
・ゲシュタルト心理学者のレヴィンは、場理論を提唱した。同じ人物でも環境が変われば行動が変わる、同じ環境でも人物が変われば行動が変わるというこの理論は、社会行動(社会心理学)の基礎理論となった。
20、発達
「発達」を理解するために、「成長」との違いを理解しておきましょう!
・成長:身長や体重の増加、脳のシナプスの増加など、時間に伴う量的な増大である。20歳前後でピークを迎え、その後緩やかに減退していくと考えられている。
・発達:時間に伴う質的な変化のことを表す。発達心理学は子供の「成長」のみを扱う分野ではなく、人間が一生かけて変化していく過程を探究する学問であると言える
□公認心理師試験対策の勉強を移動中や外出中にも手軽にしたい
□ブループリントのキーワードをしっかり覚えたい
□過去問は大体解けるけど本当に理解できているか確かめたい
という方は当サイトをブックマーク登録・またはホーム画面に追加して、隙間時間に勉強できるようにご活用ください!
・この記事は赤本 公認心理師国試対策2022 (KS心理学専門書) を用いて要約しています。
・公認心理師受験専用に様々な参考書がありますが、私はこれ1冊を徹底的に使い込むだけでも合格点は目指せると考えています!
・何の参考書を買うか迷った時は、まず赤本 公認心理師国試対策2022 (KS心理学専門書) がおすすめです😌
コメント