1.口腔ケアとは口腔保清と口腔機能維持、向上の両面を含む一般用語である(老年歯科医学会)

・全ての歯が揃っている口腔では、歯の表面積は25%を占めるに過ぎず、舌や口蓋、頬の内側など75%が口腔粘膜で占められている
・歯磨きをすることは、口腔の表面積の25%を保清しているにすぎない
・義歯装着者では義歯保清の必要性が出てくると同時に、義歯が覆っている口腔粘膜の自浄性が失われる
「口腔ケアは動作が自分で行える患者については任せているケースが多いですよね。
ただ訓練中に口の中を見ると、食べカスが残っていたり、汚れていることは少なくありません。
義歯も同様に、付けようとしたら食べ物のカスが残っていることもあるのではないでしょうか。
口腔ケアの動作はできても、正しい口腔ケアをするには、ある程度の認知機能が必要だなーと日々感じます。
口腔ケアを自立にする基準は、動作ではなく、正しく行えているかどうかで判断しても良いのかなと感じます。
行えていないのであれば、口腔ケアを指導するという機会があると、その病院の誤嚥性肺炎リスクは一気に低くなりそうですよね!」
2.食物と粘膜、粘膜同士、歯や粘膜がたがいに擦過しあうことでバイオフィルム(細菌の塊)が破壊され唾液嚥下により保清される

いろいろ働く 唾液の作用 三寒四温の言葉どおり、冬が行きつ戻りつしている昨今ですが、みなさまお元気でしょうか。 感染症の流行もあり、より一層健康管www.chibado.com:画像引用
・口腔の運動量低下、唾液分泌量低下、嚥下運動回数減少などにより口腔粘膜の保清状態が悪化する
・健常人は覚醒時には唾液を0.3mL/min分泌し、3分ごとに嚥下運動を行っている
・約1mLの唾液を口腔内に貯留するたびに嚥下して胃に送っている
・就寝時にも唾液分泌0.1mL/min、12分ごとの嚥下運動が行われている。
・一日総計1500mLの唾液分泌と約600回の嚥下運動によって口腔が保清されている
「話す、食べる機会が唾液分泌を促し、日々唾液嚥下をして過ごしている。
つまり嚥下機能が低下した人は、唾液誤嚥のリスクもそれだけあるということ。
特に夜間の唾液誤嚥はよく聞きますよね。
誤嚥性肺炎に繋がるのは、食物誤嚥もありますが、個人的には唾液誤嚥をしているケースが多い感じがします。
そして口腔内が保清できていない場合、唾液誤嚥による誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
ここは意外と知らない医療従事者も多いので周知していきたいですね」
3.唾液嚥下運動は低負荷高回数のトレーニングであり、日常的に嚥下関連筋群の維持強化をしている

・禁食、安静臥床状態は口腔内の汚染を進行させ、嚥下機能も低下させる
・臥床でよく見られる高齢者の誤嚥性肺炎は、禁食、安静臥床、不適切な栄養管理、発熱や炎症が長引くなどの状況が存在することが多く、加齢、廃用、低栄養、疾患のサルコペニアの原因すべてが重複する
・誤嚥性肺炎はサルコペニア関連肺炎という見方もできるかもしれない
出典:老化と摂食嚥下障害 「口から食べる」を多職種で支えるための視点
「禁食や安静臥床は最終手段であり、なるべく防ぎたい方法です。
理由は、一気にサルコペニアが進行するからです。
誤嚥性肺炎をサルコペニア関連肺炎と捉えるというのは、周知していくべき内容かなと感じます。」
◎まとめ
・口腔ケアは歯や義歯を保清するだけではなく、口腔粘膜をターゲットにした保清を行う
・生理的な唾液の嚥下運動や口腔の運動がスムーズにできる姿勢調整や口腔保湿が必要不可欠
・口腔を保清することと嚥下運動、食べることには緊密な関係性がある
本日の引用は
でした!
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