この大項目で最も出題されているのは
様々な心理検査ですので
まずはそこから理解していきましょう!
YouTube・スタンドFMでこの記事の音声配信も行っているので
耳での学習を希望する方は以下のリンクからご活用ください😌
□精神症状と対応する主な心理検査
1、精神症状と対応する主な心理検査
自己記入式 | 面接式 | 英語発音•和訳 | |
うつ症状 | BDI-Ⅱ SDS CES-D | HAM-D MADRS | Depression (抑うつ) |
不安症状 | CAS MAS STAI | Anxiety (不安) | |
統合失調症 | PANSS | Positive signs Negative symptoms (陽性症状・陰性症状) | |
双極性障害 | YMRS | Manic(躁) | |
強迫性障害 | (Y-BOCS) | Y-BOCS | Obsessive (強迫) |
パニック障害 | (PDSS) | PDSS | Panic disorder (パニック症) |
社交不安障害 | (LSAS-J) | LSASーJ | Social anxiety (社交不安) |
PTSD | IES-R | CAPS | |
総合的健康状態 | POMS CMI GHQ |
*自己記入式: 患者本人が記入する形式。患者が意識している症状のみ評価可能だが、意識していない症状は反映されにくい。回答は比較的短時間で終わることが多い
*面接式: 患者に検査者が面接しながら行われる形式。表情や話速など観察から判断される症状、クライエントが意識していない症状も含めて評価可能。また、患者の反応から、質問の意図を理解しているか確認可能。反面、回答に時間がかかるものが多い
英語の綴りをクリックすると、Googleの英語発音リンクに飛んで発音を確認できます。発音を覚えることによって、ここから離れた後も、脳内で内言語化(リハーサル)しやすくなります!
【うつ症状】
・BDIーⅡ:うつ病の 重症度判定を目的として用いられる。適用は最低13歳
・SDSうつ性自己評価尺度:40点が基準であり、それ未満はうつ性は低いとみなす
・HAM-D(ハミルトン抑うつ評価尺度):17項目版では7点以下を正常範囲とみなすことが多い
*GDS-15ーJ(老年期うつ検査):満点が15点、カットオフ値が5点以上のうつ病スクリーニング検査
【不安症状】
・MAS(顕在性不安尺度):不安の測定を目的とする65項目の質問紙検査(MMPIから選出した不安尺度50項目と、妥当性尺度15項目からなる)。A得点は顕在性不安得点であり、不安症のカットオフ値は21点。L得点は虚構尺度で、11点以上ならテスト結果は無効。
・STAI(状態・特性不安検査):特定の場面における不安である状態不安と、いつも存在する不安である特性不安の2つを測定する。状態不安は41点以上、特性不安は44点以上で高いとされる
・GAD-7:一般的な不安尺度で、7項目からなる自己評価式検査
*第3回公認心理師試験 問137出題
【強迫性障害】
・Y-BOCS(エール・ブラウン強迫尺度):強迫症の重症度判定
【社交不安障害】
・LSASーJ(リーボヴィッツ社交不安尺度日本語版):社交不安の強度を計測。30点以上は境界域、50点以上は中等度、70点以上は重度、90点以上は最重度
【PTSD】
・IES-R(出来事インパクト尺度):心的外傷後ストレス障害の症状の評価。カットオフ値は25点
・CAPS:PTSDの診断及び症状評価に用いられている尺度
【総合的健康状態】
・CMI(コーネル・メディカル・インデックス):身体的・精神的自覚症状を把握することを目的とした質問紙検査。 身体項目12区分と精神的項目6区分からなり、実施は比較的容易。適用は最低14歳
2、発達障害に対応する主な心理検査
症状 | 形式 | 主な検査 | |
ASD | 本人・行動観察 | ADOS-2、PEP -3 | CAPS2 |
養育者面接 | ADI-R、PARS-TR | CAPS2 | |
養育者質問紙 | M-CHAT,AQ | ||
本人質問紙 | AQーJ | ||
ADHD | 子ども用 | ADHDーRS | Conners3 |
成人用 | CAARS | ||
SLD | LDI-R、MIM -PM | STRAW -R | |
適応行動 | Vineland-Ⅱ |
・MーCHAT:幼児向けであり、乳幼児期自閉症チェックリストとも呼ばれる。共同注意・他児への興味・模倣など、主に非言語的な対人行動を測定する検査
・Vineland-Ⅱは社会適応検査(適応行動尺度)と呼ばれており、0-92歳まで幅広く使用できる。コミュニケーション・日常生活スキル・社会性・運動スキル・不適応行動の5つの領域から構成されている
・CAARS(コナーズ成人ADHD評価尺度):ADHDの重症度判定に用いる
・Conners3:ADHDの判定に用いる検査。適用年齢は6-18歳
・AQ-J: 自閉スペクトラム指数を測定する検査で、「社会的スキル」「注意の切り替え」「細部への関心」「コミュニケーション」「想像力」の5つの下位尺度からなる。カットオフ値は33点とすることが多く、それを超える点数の場合は自閉症スペクトラム症の疑いがある
・CPT:注意機能び測定に用いられる神経心理学的検査として知られている。ADHDの不注意と衝動性を客観的に評価する検査
*第2回公認心理師試験・問139に出題
Vineland-Ⅱは、 発達障害のアセスメントにおいて、日常生活の困難さの把握や支援計画の立案などの目的で、テストバッテリーとして用いられることが多いです。2020年度より保険適応となった点も注目!
□心理検査の学び方
3、最低限おさえたい「大まかなカットオフ値」
検査 | 困難があるとみなす目安 |
知能検査の知能指数IQ 発達検査の発達指数DQ Vineland-Ⅱ「適応行動評価」 平均100、標準偏差15の検査 | 70以下 |
Vineland-Ⅱ V評価点 (各平均15、標準偏差3) | 9以下 |
HDS-R | 20以下:認知症の疑い |
MMSEーJ | 27以下:MCIの疑い 23以下:認知症の疑い |
MMPI T得点(平均50、標準偏差10) | 70以上 |
BDI-Ⅱ | 20以上(中等度のうつ) |
*CDR(臨床的認知症尺度):認知症の重症度の判定を目的とした尺度。
・評価は観察及び家族・関係者からの聴取によって行われる
・「記憶」「見当識」「判断力・問題解決」「社会適応」「家族状況・興味関心」「介護状況」の6側面について、健康(0点)〜認知症の疑い(0.5点)〜軽度認知症(1点)〜中等度認知症(2点)〜重度認知症(3点)の5段階で評価する
*第3回公認心理師試験 問96出題
この中でも特にMMPIは公認心理師試験に頻発するので別記事でまとめてあります
4、主な知能検査・発達検査の対象年齢一覧
種別 | 検査名 | 対象年齢 |
知能検査 | WPPSI | 2歳6ヶ月〜7歳3ヶ月 |
WISC | 5歳〜16歳11ヶ月 | |
WAIS | 16歳〜90歳11ヶ月 | |
鈴木ビネー知能検査 | 2歳〜18歳11ヶ月 | |
田中ビネー知能検査 | 2歳〜成人 | |
KABC -Ⅱ | 2歳6ヶ月〜18歳11ヶ月 | |
発達検査 | 新版K式発達検査 | 3ヶ月〜成人 |
遠城寺式乳幼児分析的発達検査法 | 0歳〜4歳7,8ヶ月 | |
津森式乳幼児精神発達検査法 | 0歳〜7歳 |
公認心理師試験によく出る5つの検査については
別記事でまとめましたので
ご活用ください
⇨【公認心理師試験によく出る心理検査5つ】BDI・KABC・Y -BOCS・BGT・田中ビネー
ここからは、心理アセスメントについても
理解を深めていきましょう!
□心理アセスメントに有用な情報とその把握の手法等
5、機能分析
・問題行動を引き起こす先行刺激、刺激に対するクライエントの反応(行動)、その反応から引き起こされる後続刺激(結果)の3点に注目し、どういった先行刺激と後続刺激が問題行動を持続させているのかという3項随伴性を分析すること
・機能分析による問題状況の理解に基づく介入を、応用行動分析という
6、診断的評価
・活動前に、活動計画立案・調整のための情報を得ること。活動途中に行われる形成的評価や、活動後の総括的評価と機能面で対比される
7、半構造化面接
・あらかじめ仮説や調査観点を設定し、それに応じた質問項目も用意しているか、会話の流れに応じて質問の順番を変更し、場合によっては質問の追加も行う方法
「構造化面接から非構造化面接に切り替える」などという決まった形ではないので注意してください!
・心理アセスメントにおいては、半構造化面接が求められる
質問項目も順番も定める⇨構造化面接
質問項目も順番も定めない⇨非構造化面接 と一緒に覚えましょう!
8、インテーク面接・査定面接
・クライエントを受理するかリファーするかを判断するための受理面接とも呼ばれる。
ただし、リファーは安易に判断せず、現状の援助資源で対応できないかまずは検討することも必要だよ!
・インテーク面接は初回面接であるため、自分自身に対する不安だけでなく、相談者が信用できるかなど、相談者に対する不安も強い(二重の不安)
・インテーク面接後、あるいはインテーク面接と合わせて行われるクライエントをより深く、多面的にアセスメントするための面接を査定面接という。情報収集を目的とする調査面接と共感・受容に主眼を置く臨床面接が一体として進行していく
9、司法面接
・冤罪(えんざい)を出すことなく子どもを適切に保護し、かつ子どもから証拠的価値の高い情報を得るための面接法
・司法面接の回数は必要最低限に抑え、正確な証言を得るため録画・録音する
録画の様子はサポートスタッフが別室で観察し、質問内容をチェックしたり必要に応じて面接者に助言したりするよ!
・本題に入る前に、面接における約束事を説明し、練習として本題と関係ないエピソードを話してもらうことでラポールを形成する
・ 事実と感情や欲求の混同を防ぐため、事前に今日1日の出来事を時系列に沿って語ってもらうなど、記憶想起の練習も実施する
・子どもの言葉を面接者がわかりやすくかみ砕いてフィードバックしたり、誘導・暗示的質問(閉ざされた質問)をしたりすると、そのフィードバックや誘導・暗示的質問に沿う形で発言内容が変容してしまう可能性があるため、注意が必要
・「何があったのか話してください」と質問し、「それで?どうなったの?」と開かれた質問を重ねて情報を収集していく(オープンな質問・自由な語りを促す)
司法面接=「必要最低限の回数・まずは関係ない話でラポート形成・開かれた質問」とこの辺りのキーワードを覚えとくといいかな!
【認知面接】
・ 種々の認知理論を応用して出来事の正確な想起を促すことを目的としており、主に司法場面における目撃証言の収集に用いられている。
【代表的な技法】
① 出来事の環境や文脈を心理的に復元し再生する
② 不明瞭な事柄も含め、全て報告させる
③ 出来事の生起過程について、順序を逆にして想起してみる
④ 犯人側の視点に立って想起してみる
⑤ 認知容量限界に配慮し、矢継ぎ早の質問を控える
⑥ 被面接者の思考を途切れさせず、今考えているであろう事柄について質問する
⑦ 特定の感覚への集中
⑧ 被面接者への会話の統制権の委譲
⑨ 被面接者の積極的参加の姿勢を重視
⑩ ラポール形成
公認心理師第4回試験 問57出題
□関与しながらの観察
・セラピストが自らの存在を道具としてクライエントと関わり、クライエントとの関係性を手がかりにクライエントの理解を深め、次の関わりを紡ぎ出していくという、関与と観察の不可分性を指したもの(観察者と対象者の相互作用によって成立するもの)
・観察者であるセラピストは、自らの存在が観察内容に与える影響を排除することはできない(客観性を担保しない観察技法=客観性を維持することは不可能)
・ サリヴァンはセラピストがクライエントに関わることを逆手にとり、積極的に関与することによってクライエントの反応を引き出すことを目指した
・ セラピストはクライエントの言動を受け止め、それに対する解釈を伝えながらクライエントの真意を探り、最終的に、クライエントはセラピストに理解してもらえたと感じ、セラピストもクライエントを理解できたと感じられるまで、積極的に関与し続けることが求められる。
・セラピストがクライエントの真意を十分に理解できたならば、それはセラピストの主観によってクライエントを理解しているのではなく、「間主観的に」クライエントを理解したことを意味する。また、間主観的理解は客観的観察からは得ることのできない情報を多く含む、クライエントに関する重要なデータであり、間主観なくして クライエントの理解はありえない。このような「間主観的理解」を目標として行われたのが関与観察である
*観察者の中立性・客観性が求められる。(条件を統制する)実験的観察法とは異なる点に注意
□心理検査の種類・成り立ち・特徴・意義及び限界
10、自然観察法・実験観察法
・自然観察法⇨人々が生活する場での自然な振る舞いを観察する
・実験観察法⇨現象に人為的な操作を加え、条件を統制しながら被験者の行動を観察する
愛着測定のストレンジ・シチュエーション法は実験観察法です!
*場面見本法:特定の場所を選んで観察する、予め状況や環境を設定し、その中で観察する方法
*日誌法:日常生活における行動の流れをそのまま観察、記録する方法であり、行動活性化の1つとして行われる生活記録表はこれに該当する
11、質問紙法(調査法)
⇨質問紙を配り、回答を求める方法
メリット | デメリット |
集団実施可能 | 自己呈示動機や社会的望ましさによる回答の歪み(バイアス) |
集計が容易 | 無意識的な特徴は明らかになりにくい |
統計的解釈により客観性が確保しやすい | 性格の表面的な把握にとどまるという批判あり |
自己呈示とは、自分にとって望ましい印象を与えようとして意図的に振る舞うことだ
確かにそのアイコン写真も筋トレしてて一番盛れてる時の画像使ってるもんね
・・・・・・・・
ちなみに、社会的望ましさのバイアスは、回答バイアスの一種で調査回答者が他の人から好意的に見られる方法で質問に答えようとする傾向のことね。それは、「良い行動」を過大報告したり、「悪い行動」や望ましくない行動を過小に報告するという形をとることがあるよ。
・心理検査における質問紙法は、多くの場合、評定法が用いられる
評定法とは・・・⬇︎
事物や事象を評価する一方法。価値的経験や感覚的体験など,数量化しにくい事物や事象の特性を心理的尺度によって数量化し,順序づける方法で,その心理尺度の構成方法により選択法,一対比較法,評定尺度法,品等法などに分類できる。社会調査や態度測定,教育評価などに用いられる。
評定法とは – コトバンクより原文引用
・リッカート法:性格に関する質問項目それぞれについて、自分自身の性格と照らし合わせながら1-5などで評定し、その得点の合計を性格特性のスコアとする方法
・SD法:明るいー暗い、暖かいー冷たい、など2対の形容詞を呈示し、どちらの形容詞に近いかといったイメージを5段階あるいは7段階の尺度を用いて判定する方法
・YG性格検査やMMPIが代表的
【YG性格検査】
・ ギルフォードの作成した性格検査をモデルに、日本人向けに作成された質問紙検査。120項目の質問から12の性格特性を測定する。5タイプの性格類型に分類するのが特徴
12、投影法(投映法)
・曖昧、多義的な図形などを呈示し、それに対する被検査者の反応をもとに、深層的な心的特性に迫ろうとする手法
メリット | デメリット |
回答の歪みは生じにくい | 解釈が困難かつ検査に対する熟練を要する |
無意識な特徴も明らかになりやすい | 結果の解釈の客観性を確保することが難しい |
互いのデメリットを補うために、質問紙法と組み合わせてテストバッテリーを組むことも多いよ!
・ロールシャッハテスト、P-Fスタディ、TATが代表的
【ロールシャッハテスト】
・紙に垂らしたインクを2つに折り曲げて広げたことでできる左右対称の模様が描かれた図版を見て、「何に見えるか」「どんな風に感じたか」を直感で答えていくテストです。
・ロールシャッハが示した、この検査の実施方法には、4つのガイドラインがありました。10種類の図形を被験者に見せてチェックするポイントです。
① いくつの反応があったか、反応するまでの時間、拒否した回数など。
② 被験者の反応は図形についてだけなのか、色彩や動きにかんするものがあったのか。
③ 図形は全体的に読み取られたのか、どの部分に反応したものか。
④ 図は、被験者には何に見えていたのか。
・ロールシャッハはまだ発症してない精神疾患や神経症の兆候を診断できると主張しました
【P-Fスタディ】
・ローゼンツァイクにより開発された投影法検査です。日常的によく経験するような欲求不満場面が描かれた24枚(成人用・青年用・児童用あり)のカードに対する反応から、無意識的な攻撃性の型と方向を明らかにすることを目的としています。つまり、フラストレーションを感じる場面でどのような反応を示しやすいかを確認し、現実的な対人場面における適応性・攻撃性を分析するための検査ということです。(ローゼンツァイクは、「実験精神分析学」を提唱し、 欲求不満場面に現れる防衛規制の分析こそが、精神力動的研究の中心となると唱えました。)
・カードには、2人の登場人物が描かれています。左側の人物の吹き出しには、右側の人物を欲求不満に陥れるような言葉が描かれています。右側の人物の吹き出しは空白になっていて、被検査者にはそこに自由連想したせりふを書き込んでもらいます。(場面が具体的で限定的であるために回答の自由度が低く、一方で場面が具体的であるがゆえに自我の働きによる防衛がよく投影されるとされています)・反応は障害優位型、要求固執型、自己防衛型という3つの攻撃型と、内罰型、外罰型、無罰型という3つの攻撃の方向で分類されます。さらに、「集団一致度」から常識的な反応かどうか、また、プロフィール欄、超自我因子欄、反応転移欄から、被検査者の特性を読み取っていきます。
・葛藤場面は「自我阻害場面」と「超自我阻害場面」で構成される
・攻撃の方向として、自分に向くのは「自責」、他者など外界に向くのが「他責」、攻撃性の表出を回避・抑制するのが「無責」
*第3回公認心理師試験 問16出題+第1回公認心理師試験 問17出題
【TAT】
・マレー,H.A.とモーガン,C.D.によって開発された投影法検査で、「主題統覚検査」と訳されます。日常生活における葛藤場面が描かれたカードを1枚ずつ呈示し、過去・現在・未来にわたる物語を自由に作ってもらいます。カードには人物と曖昧な状況が描かれています。分析対象となるのは、その物語の主人公が感じている欲求や圧力です。ここでの「欲求」とは、主人公が環境に働きかける行動を引き起こす内部からの力を指し、「圧力」とは環境側から主人公に働きかける力のことを指します。
・マレーの欲求圧力理論を基盤とし、被検査者が葛藤状況をどのように認識し、どのような対処行動を行っているかといった性格・行動傾向から、パーソナリティを明らかにしていくのがTATの特徴です・おおらかで自由に実施できる分、検査者なりの視点に基づく解釈も可能
13、描画法
・被験者が描いた絵を分析することで人物を評価する手法
・バウムテストやHTPテスト、風景構成法が代表的
・言語による表現が困難な対象にも利用でき、また言語的に表現困難なパーソナリティの側面を捉えることも可能
【バウムテスト】
バウムテストは一本の木を描くことによって、その人の心の内面を判断することを目標に作られた検査です。
作業①:最初に、白い画用紙を与えて、3分間、イメージして1本の「実のなる樹木」を描かせる
作業②:何分で書きあげたか。どこから書き始めたか。消しゴムはどこで使ったかを観察する
作業③:描く態度をみる。描きながらの感情の動きをチェックすることに留意すること
作業④:描いた絵の感想を聴く。さらに、どんなことを考えたかの意見を聴くこと
【分析の例】
a 幹がまっすぐ・・・ちょっとお堅いタイプ
e 幹が右曲がり・・・ NOと言えないお人よし
b 幹が左曲がり・・・引きこもり願望あり
f 幹に模様(樹皮)がある・・・周りの視線が気になる
C 枝が広がっている・・・注意力散漫
g 枝が尖っている:・・・批判的。攻撃的。
d 枝がぐにゃぐにゃしている・・・ こだわり屋。マニアックな性格である。
【特徴】
・2幹線(木の幹を2本の線で表現する)は6歳頃から増加する。それ以前は一線幹(木の幹を1本の線で表現する)が多い
・バウムテストの解釈における空間象徴は、グリュンワルドの空間図式(空間表象理論)に基づく解釈が行われる。しかし、最も大切なのは全体印象であり、空間表象以外に形態分析や動態分析も行われる
・枝先をどのように描くは一般に、友人や社会との相互作用を表すとされる
【HTPテスト】
HTPテストとは、紙に絵を描いてもらい、そこに表現された内容からクライエントのパーソナリティや心理的特徴を読み取る描画法の心理検査です。
【Hー家屋画】成長してきた家庭、家族関係を理解する。
【Tー樹木画】明確に意識されていない自己概念などを理解する。
【Pー人物画】意識された自己像。重要な人、対人、異性などを理解する。
*自由に絵を描いて、不満や欲求を解消することもある。
【風景構成法】
もともと、風景構成法は、箱庭療法のプレテストとして、主に統合失調症患者に箱庭療法を処遇することが適するか確認するため、また、統合失調症の下位分類のスクリーニング目的で使用されていました。しかし現在は、アセスメントとしてのみならず、独自の心理療法として、治療にも用いられています。
1.セラピストが、クライエントの目の前で、用紙にペンで枠をかき、それをクライエントに手渡します。
2.教示「今から私が言うものを、ひとつひとつ唱えたそばからこの枠の中にかきこんで、全体として一つの風景になるようにしてください。」
3.[川→山→田→道→家→木→人→花→動物→石→絵を完成させるにあたって足りないと思うもの(無ければ描かなくてもよい)] の順番で描画します。
4.クレヨンで色を塗ります。
【分析方法】
川=感情、生命力
(例)細い川:感情をコントロールしようとする/太い川:感情のままになりがち山=要求水準、目標、視野
(例)高く険しい山:要求水準が高い、プライドや理想/丸い山:おだやか、育み育てる田=労働、仕事
(例)区切りがない:さいげんなく働いてしまう/水のある田:職場、労働上の悩み道=人生の道
(例)道が多い:考えがまとまっていない/道に石:人生に障害を感じる家=内面と外面(主に内的心象)
(例)内的心象風景/集落:社会適応の問題木=エネルギー、状況
(例)林:自分の内界を隠す人=自分、人間関係
(例)実年齢より若い:未熟、過去の問題、実際に子供がいる場合/老人:精神年齢が高い、諦め・疲れ花=愛情、優しさ
動物=自分の中にあるものの象徴
(例)猫:甘え、受身/犬:忠実、攻撃性石=障害
どこにどんなふうに石が描かれているか
14、作業検査法
・内田クレペリン精神作業検査とは、クレペリンが連続加算法によって生じる心理的要素を明らかにした研究を参考に、内田勇三郎が作成した作業検査である。
・内田クレペリン精神作業検査では、一分に一行ずつ一桁の数字を連続加算し(前半15分、休憩5分、後半15分)、その結果得られる作業曲線から仕事の能力、積極性などのパーソナリティを分析する。・作業に影響を与える因子としては意志緊張・興奮・慣熟・練習・疲労の5つがあると考えられている。
・長所としては作業検査であるため、「仕事ぶり」が如実に現れる点などが挙げられる。短所としては計算能力に結果がかなり依存している、労力がかかる、すべての特性が現れると考えるのは早計である(質問紙法や投影法ほど詳細な特徴は明らかになりにくい)などが挙げられる。
・ 結果の判定は、全体的な作業量、1分ごとの作業量の変動曲線、誤謬率などに基づいて、定型・非定型、非定型の場合はその重症度などが記述される
15、知能検査
・田中ビネー知能検査やウェクスラー成人知能検査(WAIS)などが代表的
・WISCーⅣにおける指標得点とその内容
○言語理解(VCI):言語情報や言語的な知識を、状況に合わせて応用する能力(類似・単語・理解)
○知覚推理(PRI):視覚情報を要素を関連づけて全体として統合する能力(積木模様・絵の概念・行列推理)
○ワーキングメモリ(WM):注意を持続し、聴覚情報を正確に取り入れ記憶し、処理する能力
○処理速度(PS):多くの視覚情報を正確に事務的に処理していく能力
○以上の指標得点を総合して、全検査IQ(FSIQ)を算出
*神経心理学的な検査を補完するために、ウェクスラー知能検査が用いられることがある
*Flynn効果: 時代が進むに従って平均IQが徐々に高くなる現象のこと。 流動性知能は特に影響を受けやすい。先進国よりも発展途上国で多く見られる。
第2回公認心理師試験 問87出題
16、発達検査
・発達年齢をもとに、生活年齢との比率である発達指数(DQ)を算出できる
・新版K式発達検査などが代表的。
・3ヶ月〜成人に適用でき、姿勢・運動領域、認知・適応領域、言語・社会領域の3領域について発達の程度を測定し、発達指数を算出する。
・対象児の直接的観察により採点することが基本とされるが、それが難しい場合、養育者からの聴取も便宜的に認められている
・ 検査結果は発達年齢(DA)として表されるが、発達年齢と暦年齢の比率である発達指数(DQ)も算出できる
・KABCーⅡ(カウフマン式知能検査):認知能力を認知処理と習得度の2側面から測定でき、年齢に応じた基礎学力の測定も同時に行われる。認知処理の能力を「継次尺度・同時尺度・学習尺度・計画尺度」という4つの認知尺度で測定し、習得度を「語彙尺度・読み尺度・書き尺度・算数尺度」という4つの習得尺度で測定する。適用年齢は2歳6ヶ月〜18歳11ヶ月
□心理検査の適応、実施及び結果の解釈
17、実施上の注意点
・被験者が理解できるように結果を説明する
・心理検査の実施と結果の説明が、心理的支援の一部となるような臨床的活用に努める
・他の検査や行動観察などのデータと組み合わせて(テストバッテリー)要支援者の全体像を理解する
・用いる検査は、測定する概念が明確であること、信頼性と妥当性が確保されていることが求められる
・知能検査の場合、頻繁に実施することは推奨されていない。
ウェクスラー知能検査は、2年以内に再検査すると学習効果により得点が高めになることが報告されているよ!
・発達検査の場合、子供が落ち着ける環境や、粗大運動の評価も可能な一定の広さの部屋で実施することが望ましい。保護者から聴取する検査の場合、保護者の主観によるバイアスがあるため、他の検査と組み合わせて判断することが望ましい
心理検査実施上の注意点については、言語聴覚士としての臨床を通じて感じるところを別記事にまとめてみました
⇨心理検査実施上の注意点・言語聴覚士の臨床例を通して理解する
・この記事は赤本 公認心理師国試対策2022 (KS心理学専門書) を用いて要約しています。
・公認心理師受験専用に様々な参考書がありますが、私はこれ1冊を徹底的に使い込むだけでも合格点は目指せると考えています!
・何の参考書を買うか迷った時は、まず赤本 公認心理師国試対策2022 (KS心理学専門書) がおすすめです😌
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