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この大項目は、出題されている内容には大きな偏りがなく、健康、医療領域に関係する問題がまんべんなく出題されています。また、この項目からは事例問題の出題が多いです!事例問題は1問3点なので、特に落とさないようにしっかり理解していきましょう!
YouTube・スタンドFMでこの記事の音声配信も行っているので
耳での学習を希望する方は以下のリンクからご活用ください😌
□ストレスと心身の疾病との関係
1、生活習慣と心の健康(生活習慣病・ストレス反応)
・3大生活習慣病として、悪性新生物(がん)、心臓病(心疾患)、脳卒中(脳血管疾患)が挙げられる
・生活習慣の改善は、5つのステージを経るとするモデルを行動変容ステージモデル(多理論統合モデル)という
行動変容ステージモデルについては、別記事でまとめてみました!筋トレの継続から考えてもこのモデルは参考になりました!
⇨行動変容ステージモデルとは?習慣化のための5つの段階について理解する
・ 日常生活における様々な刺激をストレッサーと呼び、ストレッサーによって引き起こされた心身の反応をストレス反応と呼ぶ
【健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~】
1、良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2、適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3、良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4、睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5、年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6、良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7、若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8、勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9、熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10、眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11、いつもと違う睡眠には、要注意。
12、眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
出典:健康づくりのための睡眠指針 2014
【睡眠障害対処12の指針】(平成13年度版)
①睡眠時間は人それぞれ.日中の眠気で困らなければ十分。
出典:厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費 睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班
▸睡眠時間の長い人、短い人、季節でも変化、8時間にはこだわらない。
▸歳をとると必要な睡眠時間は短くなる。
②刺激物を避け、眠る前に自分なりのリラックス法。
▸就寝前4時間のカフェイン摂取、就寝前1時間の喫煙は避ける。
▸読書・音楽・入浴等自分に合うリラックス方法をみつける。
③眠くなってから床に就く.就寝時刻にこだわりすぎない。
▸眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くする。
④同じ時刻に毎日起床
▸早寝早起きでなく早起きが早寝に通じる。
▸日曜に遅くまで床で過ごすと月曜の朝がつらくなる。
⑤光の利用で良い睡眠。
▸目覚めたら日光を取り入れ体内時計スイッチオン。
▸夜は明るすぎない照明を。
⑥規則正しい3度の食事。規則的な運動習慣。
▸朝食は心と体の目覚めに重要。夜食はごく軽く。
▸運動習慣は熟睡を促進。
⑦昼寝をするなら、15時前の20~30分。
▸長い昼寝はかえってぼんやりの元。
▸夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響。
⑧眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに。
▸寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る。
⑨睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止・足のぴくつきやムズムズ感は要注意。
▸背景に睡眠の病気、専門治療が必要。
⑩十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に。
▸長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談。
▸車の運転に注意。
⑪睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと。
▸睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる。
⑫睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安心。
▸一定時刻に服用し就寝。
▸アルコールとの併用をしない。
【一部解説】
③眠くなってから床に就く.就寝時刻にこだわりすぎない。▸眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くする: 寝床で眠れずに苦しむ体験が続くと、寝床と不眠が条件づけられ寝床で目が冴えやすくなってしまう場合がある。
⑪睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと。▸睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる: 寝酒は入眠までの時間を短縮するが、ノンレム睡眠が浅いものになりやすく、睡眠の質を低下させやすいため不適切。
2、ライフサイクルと心の健康
・青年期では主に学校生活が、成人期では主に職業生活と家庭生活が、老年期では3大喪失体験と呼ばれる身体機能の低下、社会的経済的喪失体験、精神的老化が、ストレスと心の健康に大きな影響を及ぼす(精神疾患の発症が増える時期)
・更年期障害:閉経前後に様々な身体・精神症状を来すこと
3、ストレス反応
・生理的ストレス反応、心理的ストレス反応、認知行動的ストレス反応に分けることができる
・生理(身体)的ストレス反応⇨汎適応症候群(交感神経と副交感神経からなる自律神経のバランスの乱れや内分泌系の異常、身体の緊張のこと)
・心理的ストレス反応⇨不安、抑うつ、イライラ、怒り
・認知行動的ストレス反応⇨課題遂行量や正確さの低下、創造的行動の減少、引きこもりのような社会的活動量の低下
【汎適応症候群】
⇨カナダの生理学者セリエ(Selye,H.)は、多様なストレッサーによって起こる身体的な非特異的反応を汎適応症候群と定義しました。ストレッサーとはストレス反応を引き起こす刺激のことです。汎適応症候群は次の3段階で進むとされています。
・警告反応期
ストレッサーが加えられた直後の時期で、ストレッサーに対する警告を発して、ストレスに耐えるために内部環境を急速に準備する緊急反応の時期です。闘争・逃走反応とも呼ばれています。最初に抵抗力が低下するショック相を経て、抵抗力が高まる抗ショック相へと移行します。ショック相では体温低下、血圧低下、血糖値の低下、筋緊張の弛緩などの症状が見られます。抗ショック相では抵抗力が強まり、ストレッサーへの適応が本格化し始めます。
・抵抗期
ストレッサーに対し活動性を高めてバランスを保っている状態です。心身の活動が活発になるため、休息とのバランスが崩れやすくなります。症状が治まり、抵抗力が増して、一見、正常な機能を取り戻したように見えますが、ストレスに抵抗し続けるためにはエネルギーが必要なので、そのエネルギーを消費し過ぎて枯渇すると「疲弊期」に移行してしまいます。
・疲弊期
長時間継続するストレッサーに心身が対抗できなくなり、抵抗力が衰え、うつ病などの病気になる時期です。警告反応期のショック相に見られるような症状や、不安や抑うつといった精神症状、胃潰瘍などの消化器障害などの身体症状も引き起こします。
出典:汎適応症候群
・認知的評価モデル:刺激に対する脅威と対処(コーピング)可能性によってストレッサーとなり得るか否かを決定すること(ラザルスが述べた)
例えば【クラスメイトに話しかけてもらえない場合】
→それを脅威と思っていないならば、そもそも深刻なストレッサーにならない
→脅威だと思っていても「教室では本を読んで過ごす」という対処ができれば、深刻なストレッサーにはならない
→脅威と感じ、かつどう対処すれば良いかわからない時に、ストレッサーとなる
・この認知的評価モデルを受けて、ストレッサーに対してどのように対処していくかという、具体的な対処法(ストレス・コーピング)に関する研究が発展し、ストレス研究に大きな影響を及ぼした
・ストレス・コーピング:直接的なストレッサーへの対処方略である問題焦点型コーピングと、ストレスに伴う情動的側面の対処方略である情緒焦点型コーピングに二分される
【クラスメイトに話しかけてもらえない場合】
問題焦点型コーピング→どうにか話しかけてもらえるように話題を工夫したり、クラスメイトと会話できるよう先生に協力してもらう
情緒焦点型コーピング→休憩中は本を読んで過ごす(この場合、クラスメイトに話しかけてもらえないという問題は直接的に解決されていないが、孤独感や不安を軽減するなど情動面を安定させることができる)
ストレス対処が上手い方は、この2つのコーピングを上手く使い分けていますよね😌
・カウンセリングによって自分を見つけ直し、といった類の心理師の仕事は、慢性的なストレス反応への情動焦点型コーピング
・ストレスコーピング(対処方略)は、それが可能であるという認知が可能な場面においてのみ、ストレス軽減の効果を持つ。むしろ、対処することが難しい状況において、その対処方略を用いようとすることは、それ自体が大きなストレスとなる
・コーピングのコスト:コーピングを続けるうちに疲労が蓄積すること(主に問題焦点型コーピング)ストレッサーに対する過度な脅威的評価は選択できるコーピングの幅を狭める要因になるが、1つのコーピングを使い続けるより、事態に応じて適切なコーピングを選択することが良いと考えられている
確かに、〇〇さんと上手く話せないからといって、〇〇さんと話せるように努力し続けるというのは、結構疲れますよね。
・ ストレス症状がうつ症状や依存、バーンアウトを引き起こすことがある。
4、心身症
・発症や経過に心理社会的要因が関与する身体疾患のこと。代表的な心身症に、過敏性腸症候群(便通の乱れ)、過敏性膀胱、胃潰瘍、アトピー性皮膚炎、片頭痛(緊張型頭痛)、2型糖尿病、心因性発熱、本態性高血圧、過換気症候群(過呼吸によって血中の酸素や二酸化炭素濃度が変動する)、起立性調節障害(朝起き上がれない)、慢性疼痛、気管支喘息などが挙げられる
・日本心身医学会の定義では、「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」とされている。
・DSMやICDに収録される病名ではないが、心身症をDSM-5における身体症状症とほぼ同義として扱うことがあり、この場合は心気障害(心気症)が含まれ、同じカテゴリー内には病気不安症も含まれる
・自己の感情の気づき(認知)や表現(表出)が上手くできず想像力や空想の乏しいアレキシサイミア(失感情症/性格傾向)や、競争心や攻撃性が強いタイプA型行動パターンが、心身症と関連している
【アレキシサイミア】
・身体症状を訴えることはできるが、葛藤や感情、気分の変化など自身の内面を訴えることが苦手
・自身の内面を訴えることに困難を示すため、ストレスを自覚しにくい
・空想や象徴的な夢など、抽象度の高い内容を表現することは得意でない
第2回公認心理師試験 問47出題
・ストレスが症状の根底にあることが多いため、身体疾患の治療を進めつつ、カウンセリングや身体のリラクゼーション法(自律訓練や筋弛緩法)、認知行動療法の有効性が高いと考えられている
・抗うつ薬の一部は慢性疼痛に適用がある(神経伝達の調整による鎮痛作用)
*アレキシソミア:身体症状への気づきに乏しく、自身の身体症状を言葉で表現することが難しい傾向
5、予防の考え方(キャプランモデル)
目的 | 方法 | |
一次予防 | 精神疾患の発生予防、発生率の低下 | 心理教育による情報提供 |
二次予防 | 精神疾患の早期発見と早期対応・重症化、慢性化の防止 | 検診・心理検査によるスクリーニング、介入 |
三次予防 | 精神疾患の再発予防と社会復帰の促進 | リハビリテーション |
□医療現場における心理社会的課題と必要な支援
6、遺伝性疾患
・染色体や遺伝子の変異が親から子に遺伝する場合と、親には染色体や遺伝子の変異が全くないにも関わらず、突然変異によって変異が生じる場合がある
・代表的な遺伝性疾患はダウン症(ダウン症候群)。21番目の染色体が1本多いために起こる生まれつきの疾患。特有の顔立ちや知的発達の遅れなどが典型的な特徴
【経験的再発危険率】
・メンデルの法則には従わないものの遺伝性のある疾患が、どの程度の確率で子に発生するかを推定する危険率のこと
・単一の遺伝子によって規定される疾病ならばメンデルの法則に従う
・遺伝子が複数である場合や、トリソミーなどの染色体異常の場合は、メンデルの法則に従わないため、理論的には確率を算出できない。そこで、家系図などから統計学的に発生リスクを推定する方法がとられることがあり、それを経験的再発危険率と呼ぶ
7、がん
・細胞の遺伝子プログラムの逸脱による異常増殖
・「がん対策推進基本計画」において、「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」が重点的に取り組むべき課題として位置付けられた
・身体的症状の緩和や精神心理的な問題などへの援助が終末期だけでなく、がんと診断された時からがん治療と同時に行われることが求められている
8、難病
・原因が不明で、治療法が確立しておらず、長期療養が必要な疾患を難病という。
自立生活が送れないことや生命維持の困難さは、難病の条件には含まれていないので注意してね!
・難病のうち、患者数が国の人口の0.1%以下で、客観的な診断基準が存在するものを指定難病と言う。
指定難病は医療費助成の対象となり、患者の自己負担額が軽減されるだけでなく、負担上限金額があるためそれを超える負担はなくなるよ!
9、医療倫理
【医療倫理の基本4原則】:ビーチャムによってチンドレスによって示された医療従事者の守るべき倫理的指針であり、倫理的問題に直面した時に参照すべき基準とされる
①自律(性)尊重原則:患者自身の決定や意思を大切にし、患者の行動を制限したり干渉したりしないこと。
インフォームド・コンセント、真実告知、個人情報保護、守秘義務などが含まれます!
②善行原則:患者のために、最善をなし最善を尽くすこと。
患者の症状に合った治療方法のうち、できうる最善の治療を行うこと。ここでいう「最善」とは治療者側ではなく患者にとっての最善のこと。本人の価値観に基づいてワクチンを避ける自由は尊重されます。
③無危害原則:患者に危害を及ぼさないこと。また、今ある危害や危険を取り除き予防すること。
できるだけ身体に負担の少ない治療方法を選択すること。予防のためのワクチンなどもこの原則に含まれる
④正義(公正)原則:患者を平等かつ公平に扱うこと。限られた医療資源をいかに適正に配分するかも含まれる
災害時に多くの患者が同時発生した際に、重症度に従って優先順位を決めること(トリアージ)
・ 善行原則と無危害原則は、同時に満たすことが難しい場合がある。例えば、緩和ケアにおける鎮静は、苦痛の緩和と言う善をもたらすが、コミュニケーションの障害や生命予後の短縮等をもたらす可能性がある。この場合、二重効果の原則や相応性原則が参照される。
・二重効果の原則:① 行為自体は倫理的に善いもの、あるいは中立的である。②行為者は、たとえ悪い結果が予見されていたとしても、良い結果を意図して行う。③道徳的に非難される結果は、道徳的に許容される結果を得る手段であってはならない。この①から③の全てを満たしている行為は、倫理的に許容されると言う考え方
・相応性原則: 行為に伴う好ましくない結果を許容できる相応の理由がある場合、その行為を倫理的に妥当と判断すること。
・ 倫理的問題点を抽出し、多職種による検討を行うための方法としてジョンセンの4分割法(①医学的適応、②患者の意向、③QOL、④周囲の状況)が挙げられる
10、患者安全
・ 患者安全に関する活動としては、患者確認、インシデント(重大な事故につながりかねない危険な状況)、アクシデント(事故)の報告と分析、KYT(危険予知トレーニング)、5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)、転倒転落防止などが挙げられる
・ 患者安全に対する感染対策として、WHOの手指衛生ガイドラインがある。手指衛生のタイミングとして以下の5つの瞬間が挙げられている
① 患者に触れる前
② 清潔操作(無菌操作)の前: 減菌された物品や器具を操作する際、減菌されたガウンや手袋を着用して無菌状態を保ちながら操作すること
③ 体液に曝露した可能性がある場合
④ 患者に触れた後
⑤ 患者周辺の物品に触れた後
11、チーム医療と多職種連携の実践
・日々の診療録は、SOAP形式で記載される
S(Subjective information):主観的情報(患者の会話内容など)
O(Objective information):客観的情報(精神症状や行動など)
A(assessment):治療者の分析・評価・見立て(神経学的所見の解釈)
P(plan):Aに対する治療計画
*英語のリンクはクリックすると発音のリンクに飛びます
・チーム医療は医師のリーダーシップの元各職種が分業する垂直型のチームから、多職種が連携・情報共有しながら支援する水平型のチームへと移行している(手術室や危機介入など時間制限型のチームアプローチの際は、垂直型のチームが求められることもある)
・患者と医療者の関係において、医師を頂点とした垂直的な関係(パターナリズム・父権主義的程度)から、患者と医療者が共同で意思決定を行うSDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)へと移行しつつある
12、リエゾン精神医学
・身体疾患に伴う様々な心理的問題を、チーム医療の中で扱うこと
・コンサルテーション・リエゾン精神医学と呼ぶこともある
□保健活動における心理的支援
13、うつ
・うつ症状(抑うつエピソード)には、抑うつ気分、興味・喜びの喪失、食欲の異常、睡眠の異常、焦燥または制止、易疲労性や気力の減退、無価値感や罪責感、思考力や集中力の減退、決断困難、希死念慮などがある
精神運動の制止は,話し方や動作が普段より遅くなっている,言葉がなかなか出てこない,周囲の人からもそれを指摘されるといった症状です. 焦燥というのはその反対で,じっとしていられず,動き回ったり,座っていられなくなったりする症状です.
無価値感(むかちかん)は、自分やものを過小評価し否定的になる状態。「自分は生きるに値しない」「自分は何の役にも立たない」といった自分の能力や健康、財産、境遇などを否定する感情を言います。
・希死念慮(きしねんりょ)は「死にたい」と強く思いつつ、具体的な方法までは考えていない状態です。ちなみに自殺念慮(じさつねんりょ)は、この世から去るための具体的な方法を考えている、もしくは準備を始めた、または準備が完了している状態です。希死念慮と比べると、自殺念慮はさらに危険性が高いです。
・認知行動療法と薬物療法の併用による支援が有効とされている
認知行動療法については別記事でまとめてあるので、理解を深めたい方はご活用ください
⇨自分にも・患者さんのメンタルコントロールにも使える?認知行動療法とは!
*ディスチミア型: 新型うつと呼ばれる患者の病態像
*メランコリー型: 責任感が強く、几帳面で負けず嫌いな性格傾向が見られる
14、依存症
・精神依存: 薬物による「快楽」を求め、適量な摂取ができず、過剰に服用してしまうこと。「 物質への渇望や強い欲求」。 すべての依存性物質に見られる(覚醒剤など)
ちなみに抗うつ薬は、多少の耐性が生じ、減薬による離脱症状がわずかに生じる可能性もありますが、適量ならば精神依存を引き起こすことはほとんどないよ!
・身体依存:物質の使用で身体機能の安定が保たれること。 一部の麻薬やアルコール、ニコチンなどに見られる(アルコール依存など)。 物質を使用しないことにより、手足の震えや動悸、発汗など身体に変化が起こる(離脱症状)
・嗜癖: 身体的に危険な状況にあっても物質の使用を反復すること
・中毒: 薬物摂取によって心身に強い特性が生じている状態のこと
・耐性: 同じ効果を得るために必要な物質の量が増えてしまうこと
・感作・逆感作: 物質を反復しをした結果、少量の摂取で効果が現れるようになる現象
・回復: 物質の使用を完全に中止した状態
・離脱: 薬物の摂取をしないことによって生じる症状のこと
公認心理師試験第3回 問33出題
・ 抗不安薬は、精神依存・身体依存がともに見られやすく、注意が必要。半減期(代謝による血中濃度の低下までの期間)の短いものの方が 離脱症状が強く現れやすく、依存も生じやすい
・ 覚せい剤は精神刺激薬の一種で、精神依存は強烈だが身体依存は生じない
・フラッシュバック: 依存性薬物を中止した後、その薬物を使用していないにもかかわらず使用時のような幻覚や妄想が発生する現象。覚せい剤等で発生しやすいことが知られるが、アルコールでは通常発生しない
【アルコール依存症】
・ アルコールは不安の解消を目的に摂取されることが多く、逆にアルコール依存が不安症を引き起こす可能性も指摘されており、合併は少なくない
・ アルコール依存症者の生涯自殺率は10%以上に上り、一般成人の自殺率の数十倍になることが知られる
・ アルコール依存症者の脳機能障害と言えば、ウェルニッケ脳症が有名であり、ビタミンB1の欠乏によって引き起こされるため、予防にはビタミンB1の投与が効果的
公認心理師第4回試験 問126出題
【アルコール健康障害】
・ コルサコフ症候群:アルコール依存によるビタミンB1の不足によって起こる記憶障害である。ウェルニッケ脳症(意識障害や歩行障害、眼球運動障害など)の後遺症として発症することが多く、急性に発症するものではない
・アルコール幻覚症: 長期にわたる大量のアルコール摂取が原因となり、アルコール中止後1〜2日以内に出現する幻覚症状。幻聴や被害妄想が急激に発生し、数日から数週間後に消失する。幻覚発生時の意識ははっきりしているのが特徴。
・アルコール性認知症: アルコールに起因する認知症状の総称で、脳血管障害、肝硬変、ウェルニッケ脳症などが含まれる。
・離脱せん妄: アルコール離脱症状の一種で、長期間にわたる大量のアルコール摂取を中止または減量した2〜4日目ごろに現れやすい。通常は3〜4日ほどで収まるが、症状が強い場合には死に至る可能性もある
公認心理師第4回試験 問27出題
【アルコール離脱】
⇨ アルコールを大量・持続的に摂取していた人がそれを中止し、数時間から数日以内に発言する特徴的な離脱症状を、DSM-5で基準を設けている
① 自律神経系過活動(発汗または100/分以上の脈拍数)
② 手指振戦の増加(手足が震える)
③不眠
④嘔気または嘔吐
⑤一過性の視覚性、触覚性、または聴覚性の幻覚または錯覚
⑥精神運動興奮(異常に興奮して暴れる)
⑦不安
⑧全般性強直間代発作(全身が硬直して小刻みに震える)
公認心理師試験第3回 問132出題
・ギャンブルは、脳報酬系を刺激する点で物質乱用と類似しているため、DSMー5では物質関連障害の章に含まれている。 ギャンブル等依存症はパーソナリティ障害との併存が指摘されており、特に男性に多い。
15、ひきこもり
・6ヶ月以上社会参加していない、非精神病性の現象で、外出していても対人関係がない場合、ひきこもりと呼ぶ
・ひきこもりは非精神病性の現象とするが、実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性が低くないことに留意すべき
・ 一般に引きこもり当事者は相談意欲が低いため、家族療法などで用いられるワンダウン・ポジションからのアプローチが必要。当事者に受け入れてもらえるよう、相手のペースに合わせる、へりくだった対応が有効。
【ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン】
評価: 「長期的な関与を続けて情報を蓄積」「精神障害の有無の判断」
支援: 「地域連携ネットワークの構築」「家族への支援」「本人への支援」「訪問支援」
・ひきこもり地域支援センター:ひきこもりに特化した専門的な第一次相談窓口として都道府県・政令指定都市に設置されている。 生活面の助言、障害福祉サービスの利用支援などについて相談できる
ひきこもりの状態にある本人や家族が、地域の中でまずどこに相談したら良いかを明確にすることが目的だよ!
・ひきこもりサポーター養成研修事業は、「ひきこもりサポーター」を養成し派遣することにより、地域に潜在するひきこもりを早期に発見し、適切な支援機関に早期につなぐことを目的としている。
ひきこもりサポーターには、特別な資格などの要件はないよ!
・ひきこもりの社会復帰について、地域障害者職業センターで、障害者手帳の所有者でなくても、専門的な職業評価と職業指導(職業リハビリテーション)を受けることができる。また雇用者に対する相談・援助なども行っている。
□災害時等の心理的支援
16、心理的応急処置
⇨ 深刻で危機的出来事に見舞われた人に対して行う、人道的、支持的、かつ実際的な支援で、サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)とも呼ばれる
【サイコロジカル・ ファーストエイド実施の手引き・8段階】
① 被災者に近づき、活動を始める(被災者の求めに応じ、共感的な態度で接する)
② 安全と安心感(当面の安全を確保し、被災者が心身を休められるようにする)
③ 安定化(被災者の混乱を鎮め、見通しを持てるようにする)
④ 情報を集める(情報集め、被災者のニーズを把握し、個別の援助を組み立てる)
⑤ 現実的な問題の解決を助ける(必要なこと、困っていることに、現実的に支援する)
⑥ 周囲の人々との関わりを促進する(家族、友人、地域との関わりを促進する)
⑦ 対処に役立つ情報(ストレス反応への対処の方法について知ってもらう)
⑧ 紹介と引継ぎ(被災者が必要としているサービスを紹介し、引き継ぎを行う)
・PFAの基本的な活動原則は「見る」「聴く」「つなぐ」の3つ。 基本的ニーズ(食料、水、情報など)を必要とする人、深刻なストレス状況にある人を見て確認し、求められている基本的ニーズや現在の状況を聞いて確認し、基本的ニーズを満たせるよう適切な支援につなげていくことが求められる。
・無理に話を聞き出したり、無理に危機的な出来事を振り返らせない点で心理的デブリーフィングとは異なる
・サイコロジカル・リカバリースキル(SPR)とは、PFAを提供した後に用いる心理的支援法。災害後に起こりやすい困難や問題に対処するためのスキルを教えることで、被災者の自己効力感を高め、回復を促進することを目的とする
災害時における支援についてもう少し詳しく学びたい方は、別記事もご活用ください!
【被災者の心のケア都道府県対応ガイドライン】
・ 市町村のケア担当職員、 保健師などによるスクリーニングが想定されているほか、一般支援者や地域のサポート役にもスクリーニング可能なように、チェックリストが用意されている
・ ケアの必要性を「一般被災者」「見守り必要」「疾患」の3レベルに分けている。地域コミュニティーによる孤立の解消は、一般被災者への対応。見守り必要レベルの被災者には、保健師、精神保健福祉士などによるケアを求めている
公認心理師試験第1回 問96出題
17、心のケアチーム
・精神科医を中心としたメンバーで構成される精神科医療及び精神保健活動の支援を行う専門的なチーム
18、災害時派遣精神医療チーム(DPAT)
・災害時に現場に駆けつけ、精神科医療及び精神保健活動の支援を行うための専門的なチーム
・ 災害や犯罪、列車事故などによって、地域の精神保健機能が損なわれたときに、72時間以内に現地に派遣される。
・都道府県及び政令指定都市によって組織される。
・災害対策本部の指示で活動する。
・一班あたりの活動期間は1週間(移動日2日、活動日5日)が標準
・心のケアチームより組織化し、活動や名称を定義づけ、平成25年に誕生。
*「パッと(PAT)動く」
*DHEAT「 災害時健康危機管理支援チーム」: 「都道府県災害対策本部内に設置される保健医療調整本部及び保健所の指揮調整機能等が円滑に実施されるよう応援すること」を任務とする。つまり、災害により健康を害したした個人に対する対応ではなく、全体的な支援活動のコーディネートを担う機関(HEAT→ハート⇨精神的支柱⇨全体的なコーディネート)
*災害拠点病院: 通常の医療体制では対処できない災害等が発生したときに、都道府県知事からの要請によって被災者の受け入れや医療スタッフの派遣を行う病院。厚生労働省が指定するが、 病床数は指定条件に含まれない
*DMAT: 地域の救急医療体制では対応できない大規模災害などの発生時に、被災都道府県からの要請によって出動する。 養成研修は厚生労働省によって実施されている(大規模災害⇨MAXやばい→MAT)
*EMIS: 地域の医療機関の状況や患者受け入れの可否等について、情報共有するために構築された。情報共有はインターネットを通じて行われるため、スマートフォンアプリなども開発されている
*災害医療コーディネーター: 災害時に都道府県及び保健所が行う保健医療活動の調整を支援するために任用される、非常勤公務員。通常は災害医療に精通した医師が任用される
公認心理師試験第3回・問95出題
19、支援者のケア
・バーンアウト:対人サービス従事者(医師、看護師、介護士、教師など)に多く見られる問題。この概念を初めて提唱したのはフロイデンバーガー
【バーンアウト・マスラックの作成した尺度(MBI)の基準となる3つの症状】
①情緒的消耗感
→仕事を通じて、情緒的に力を出し尽くし、消耗してしまった状態。使命感や達成感を失い、身も心も疲れ果て、業務に対する動機を失った状態。バーンアウトの中核的な特徴
②脱人格化
→クライエントに対する無情で、非人間的な対応。他者に対して無関心(気遣いをしない、コミュニケーションを取らない)になりやすい
③個人的達成感の低下
→ヒューマンサービスの職務に関わる有能感や達成感を得られにくくなること
【バーンアウトの対策方法】
・支援者のストレス反応に対しては、適切な役割分担と業務ローテーションの明確化や業務に対する価値づけが重要となる
・介護の分野において、老年期の子供が老年期の親を介護する老老介護が増加しており、介護者のケアも重要である
・介護者が要介護者と距離を取って休息をとるレスパイトケアも必要となる
バーンアウトについては、燃え尽き症候群として若者もなりやすい症状であると、堀江さんのYouTubeでも取り上げられてましたね。
見ていくとホルモン療法や複雑性PTSDの話なども取り上げられていて面白かったです!
【二次的外傷性ストレス】
・心的外傷を抱えた要支援者を支援する人が受けるストレスのこと
・要支援者の体験に共感することにより、再体験症状(フラッシュバック)が生じることがある
・二次的外傷性ストレスの回復に年単位を要することはなく、回復は早いが、再発しやすいという特徴がある
*公認心理師試験第2回 問54出題
【被災者の心のケア都道府県対応ガイドライン・災害支援者に対して】
・「業務のローテーション」「住民の心理的反応に関する研修」「チェックリストによる心身不調の確認」はいずれも組織的取り組みとして記述されている。
・ 交代時間を守る、働きすぎを避ける、休息を十分にとる、家族や友人と過ごせる時間の確保といった表現で通常の生活リズムの維持の必要性を唱えている・ 体験を仲間同士で話し合うなどコミュニケーションを密にすることを推奨しているが、「話したくない体験や気持ち」までも語る事は推奨していない
公認心理師試験第4回 問116出題
【感情労働】
・社会学者のホックシールドの提唱した労働形態で、業務の1部として組織的に望まれる感情を表出することが求められ、内的感情と感情表出を統制する必要のある労働のことです。
・旧来の肉体労働、頭脳労働と言う2分類には収まらない、第3の労働形態とされています。
・ 我々の日常にはその場に適した感情表出のあり方、「感情規則」が存在するとされ、この感情規則に則し、自身の感情をコントロールする社会的スキルを、ホックシールドは「感情作業」と呼びました
感情規則の例として、結婚式では笑顔、葬式では沈痛等が求められることです
・ 感情作業は「表層演技」と「深層演技」と言う2種類の演技によって支えられています。
・ 表層演技は自らの心の感情とは不一致であっても外面的には望ましい感情表出を行うことで、深層演技は自らの感情自体を望ましい感情に変化させることです
・ この感情作業を業務として行うのが「感情労働」と言うことになります。 感情労働による疲弊はバーンアウト症候群の原因の1つとされるため、セルフケアにおける課題の1つでもあります。
・この記事は赤本 公認心理師国試対策2022 (KS心理学専門書) を用いて要約しています。
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