この大項目は、キーワードの知識を問う問題もありますが、多くは事例問題です!「スクールカウンセリング」「教師へのコンサルテーション」などについても理解を深めましょう!
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□教育現場において生じる問題とその背景
1、内発的動機付けと外発的動機付け
・内発的動機付け: 行動自体が目的となっている際の動機付けのこと。 教育現場では、子供の内発的動機付けを高めることが1つの目標とされている
・外発的動機付け: 行動に対する報酬が目的となっている際の動機付けのこと
・内発的動機付けが低いものに対して、外的報酬を与えることで内発的動機付けが高まることはエンハンシング効果と呼ばれている。だが、内発的動機付けが高いものに対しては、外的報酬を与えることで、内発的動機付けが低下することも報告されており、アンダーマイニング効果(過正当化効果)と呼ばれている
【その他の動機付け理論】
・優れた目標を設定しそれを達成することを目指す達成動機、他者との関係を重視し調和を目指す新和動機が代表的
・マズローの欲求階層説:自己実現欲求は「成長欲求」とされる。これ以下の欲求(生理的欲求、安全の欲求、愛・所属の欲求、承認の欲求)はいずれも「欠乏欲求(欠乏動機)」とされ、これらがある程度満たされた時、成長欲求が現れる
・労働者の動機付け(ハーズバーグ): 給料や環境などの衛生要因が満たされないと不満足が生じ、達成感や自己決定などの動機付け要因が満たされると更なる動機付けが生じると言う
*公認心理師試験1回 問56出題
2、自己効力感
・「自分が行為の主体であり、自分の行為について自分がきちんと統制しているという確信」・「 自身が環境(社会環境自然環境含む)に影響与えることができており、自身の行動と結果をコントロールできるという信念」のこと。バンデューラが提唱。
・①自己統制的(自分のコントロール)②社会的(他者との関わり)③学習的(学習場面)の3つに大別できる
・自分が望む行動を取ることができるか(自身の能力に対しての予期)といった効力期待(効力予期)と、行動の末に望む結果を得られるか(ある行動を起こせばそれに特定の結果が伴うはずだと言う行動と結果の随伴性についての予期)といった結果期待(結果予期)に裏付けられている
「この本をちゃんと勉強すれば合格するだろう」と言う認知が結果期待、「自分にはこの本を勉強する能力があるだろう」と言う認知が効力期待
行動するかどうかと言う動機付けに直結するのは効力期待で、自分が実際に行動し、成功と言う報酬が随伴する経験を通じ、学習によって効力期待を持てるようになります
・「自分自身の存在をどれだけ肯定的に受容できるか」を表す自尊感情に対し、「自分に何がどの程度できるか」を表すのが自己効力感。
例えば、野球が下手でも、自分のことを好きでいられる場合、野球に対する自己効力感は高くないが、自尊感情は高いといえます。
・バンデューラは観察学習(モデリング)の理論でも知られ、自己効力感の形成要因の一つとしている。モデルとなる他者の行動の観察により、状況に対してどのような行動をとれば良いか(効力期待)、行動の結果どのような状況に変化するか(結果期待)を得て、自己効力感となる。
なお、観察学習において、モデルとなる他者に与えられる強化を代理強化といい、代理強化が間接的に観察者への強化となると考えられています
・ 自己効力感は学習によって形成されるため、何らかの行動をやり遂げて成果を得ると言う経験の反復を通じて高められていく。自己効力感を形成する最も効果的なものは、自分自身で行動を決定して成功・達成に導いた経験(制御体験)である
【似た概念の用語】
*自尊感情: 自己の社会的価値を高く評価する感情(自己に対する肯定感)のことであり、いわゆる「自信」に近い概念だと思われるが、行動への影響を直接述べた概念ではない
*コンピテンス: 自己の潜在能力に対する信念、および自己の有能さを示そうとする動機付け
*学習性無力感: いくら努力しても成績が振るわないなど、自身の行動と結果の随伴性を感じられない場合に生じる無力感のこと。セリグマンが提唱
⇨セリグマンは実験で、どんな行動をとっても電撃から逃れられない環境に長く居続けた犬が、回避可能な環境になっても電撃を回避しなくなってしまうことを報告した。あらゆる行動に対して電撃と言う嫌悪刺激が与えられたため、あらゆる行動が正の弱化(罰)を受けたことになり、あらゆる行動の生起頻度が低下したと考えられる
3、原因帰属
・周囲で起きる出来事や、人の行動の原因を推論し、因果的な解釈を行うことを帰属という。
・内的帰属:自分の能力、性格などの要因に帰属すること。内的帰属しやすい人は、自分自身の能力や努力によって、価値ある報酬を得たり罰を避けたりできるという感覚(統制感・コントロール感)が強い。
・外的帰属:周囲の状況などの外的要因に帰属すること。外的帰属する人は、行動の結果を偶然や運、外部の強力な力によるものとみなすことが多く、統制感が弱い。
・行動の結果をコントロールするのは自分の力か外部の力か、どちらの帰属が行われやすいかには個人差があり、ロッターはこれを統制の所在(ローカス・オブ・コントロール)と呼んだ
帰属にはさまざまなバイアス(歪み)もあります!
・対応バイアス:他者の行動に対して、状況要因を十分に考慮せず、他者の内的属性に基づく行動と判断しやすいこと
・行為者、観察者バイアス:行為者が状況要因による外的帰属を主張する場合でも、その行動を観察している者は、対応バイアスに基づき行為者に内的帰属を求める傾向
・セルフ・サービング・バイアス:良い出来事は内的帰属が、良くない出来事は外的帰属が行われやすいこと
【原因帰属理論】
・ 自身の成功・失敗の原因を何に帰属するかに着目しており、その帰属先は「統制可能性2水準(可能×不可能)」「統制の所在2水準(内的×外的)」「安定性2水準(安定×不安定)」の 3要因の計8種類の帰属先が想定される
統制可能性 | 内的 | 内的 | 外的 | 外的 |
統制可能性 | 安定 | 不安定 | 安定 | 不安定 |
統制可能 | 継続的努力 効率的スキル | 一時的努力 非効率的スキル | 継続的状況 | 一時的状況 |
統制不可能 | 能力 | 気分 | 目標の困難度 | 運 |
・ 学習効果を高めるためには、達成動機を高めることが求められる。上記の表で達成動機が高まる認知は、成功したときに「継続的努力・効率的スキル(統制可能、内的、安定)」、失敗したときに「一時的努力・非効率的スキル(統制可能、内的、不安定)」に帰属した場合となる(いずれも内的に帰属すること)
・ 達成動機(高い水準の目標を立て、その達成を目指す行動に対する動機)の低い個人は、自身の失敗を自己の統制の及ばない「能力(才能とほぼ同義)」が原因であると考え、自身の成功も自己の統制の及ばない「運」が原因であると考える
・ 達成動機の高い個人は、自身の失敗は自己の統制の及ぶ一時的な努力(の欠如)が原因であると考え、自身の成功も自己の統制の及ぶ継続的努力が原因であると考える
4、適正処遇交互作用
・ クロンバックによって提唱された概念で、学習者の特性や興味などの内的要因(適性)と、指導方法や学習環境などの外的要因(処遇)の交互作用によって、学習の効果が個別に現れると言う考え方
・ 効果的な学習のためには、自分自身の適性に合った学習方法を模索し、その学習方法を実行することが望ましい
・ 学習者の適性に応じた処遇(教授法や学習環境)が与えられることで、学習の成果が発揮されやすくなる
5、学力
・知能偏差値より著しく学力偏差値が低いものをアンダーアチーバー、知能偏差値より著しく学力偏差値が高いものをオーバーアチーバーという。
・ 小学校では2020年度から、中学校では2020一年度から新学習指導要領に基づいた教育が行われる
【新学習指導要領「育成すべき資質・能力の3つの柱と課題」】
①学びに向かう力・人間性: どのように社会・世界と関わり、より良い人生を送るか
②知能・技能: 何を理解しているか、何ができるか
③思考力・判断力・表現力: 理解していること・できることをどう使うか
【新学習指導要領「発達の支援」を支える指導】
・障害のある児童への支援
・海外から帰国した子供への支援
・不登校の子供への配慮
などが示されている
【小学校におけるキャリア発達の特徴】
低学年の課題:「学校への適応」
中学年の課題:「友達作り、集団の結束力づくり」
高学年の課題:「集団の中での役割の自覚、中学校への心の準備」「自分の長所や短所に気づき、自分らしさを発揮する」
公認心理師試験第3回 問99出題
6、学習方略
【プログラム学習】:教育内容を系統的に提示し、個別的に学習者を目標まで効率的に到達させる学習方法のこと。スキナーのオペラント条件付けを背景理論とする。以下の5つの原理がある
①スモールステップの原理: 学習内容を細分化する。シェイピングの発想
②積極的反応の原理:学習者の積極的反応を求める(環境を整える)
③即時フィードバックの原理: 正しい場合は即座に強化子を与える(すぐに正誤を教える)
④自己ペースの原理:各自のペースで学習する(学習者の理解度に合わせて学習が進行する)
⑤学習者検証の原理:学習者の学習結果でプログラムの良し悪しが判断される
・有意味受容学習とは、新しい知識を学習者各自の認知構造に関連づけながら受容していく学習法のこと。成立するためには、学習内容の核となる概念(先行オーガナイザー)をあらかじめ学習させておくことと、受容されやすい情報の呈示が必要
有意味受容学習とは、これから学ぶ学習内容の総括的な情報を学習者側に事前に与え、その知識と学習内容を関連づけて学習することをいいます。 有意味受容学習の反対にあるのが、機械的受容学習法です。 数学の公式などをただ丸暗記するような勉強の仕方をいいます。
「2つの直線が並行である時、錯角は等しい」という、既に学んだ内容を思い起こして、三角形の頂点Aを通り、辺BCに平行な直線を引いて、三角形の内角の和は180度となることを示せる場合には有意味学習が行われており、「なぜかは分からないけれど、とにかく三角形の内角の和というのは180度になるものらしい」という理解の仕方をすれば、それは機械的学習が行われているということになります。
「先行オーガナイザー」とは、これから学ぶ内容についての理解を促すために、あらかじめ概略的な情報として与える「枠組み」のことを言います。 例えば、本の目次に目を通してから本文を読むと、難しい内容でも頭に入りやすくなります。 この「目次」の役割を果たすのが先行オーガナイザーです。
【自己調整学習】:あらゆる学習過程に自身が積極的に関わることで、自身の認知活動や学習行動を調整しながら、効果的に学習目標を達成することを目指す学習方略のこと。以下の3つが必要とされる
①メタ認知:学習の目標や過程・成果を常にモニターして自覚する
②動機付け:学習意欲を高く持ち、努力を維持する
③行動:必要な情報や援助の選択、環境調整など具体的な行動を実行する
・学習過程として、計画⇨実行⇨評価を繰り返すサイクルが想定される
・発見学習:生徒の自発的・主体的活動により、一定の関係や概念・問題の構造を、生徒自身に発見させる学習法。ブルーナーが提唱した。
「三角形の内角の和は180度である」という学習内容があった時に、そのことを直接教える場合には受容学習となり、そうではなく、三角形の角度を測る活動などを通じて、内角の和が180度となることを自力で発見させる場合には発見学習となります。
ちなみに、ブルーナーといえば、言語獲得支援システム・LASS(養育者との相互作用を通じて、子供が言語を獲得していくと考え、この時の養育者の働きかけ)を提唱した人でもありますので合わせて覚えておきましょう!
・正当的周辺参加:「実践的共同体」の 新規参入者が、最終的に共同体内で指導的な立場になるに至るプロセスの最初の段階のこと。つまり、弟子入りして師匠になると言う「徒弟制社会」への参入について述べている
・運動技能学習: 体動かして行う機能を習得するプロセスのこと。 身体部位の「運動型」と関連する感覚器官の「感覚型」の協応関係を通じて学習が成立する。その効果は短期的ではなく、長期的である
・分散学習: 休憩をとりながら運動技能を学習する方法
・分習法: 課題をいくつかのパーツに分けて学習する方法
・全習法: 全体をまとめて練習する方法
7、アクティブ・ラーニング(能動的学習)
・小学校では2020年度、中学校では2021年度から、新学習指導要領「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」(アクティブ・ラーニング)が重視されている
・アクティブ・ラーニング:一方向的な講義形式の教育ではない、学習者の能動的な参加を取り入れた教授・学習法の総称。発見学習・問題解決学習・体験学習・調査学習・教室内でのグループディスカッション・ディペート・グループワークなどが含まれる
8、不登校
・文部科学省は「 何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上(連続でなくてもよい)欠席したもののうち、病気や経済的な理由によるものを除いたもの」と定義づけている
・不登校の児童・生徒に対して、学校以外の場所を用いて教科指導を行う教育支援センター(適応指導教室・市町村の施設)があり、そこで心理専門職が介入する場合もある
・2017年の教育機会確保法の施行により、無理な復学支援ではなくしっかり休養すること、フリースクールや教育支援センター(適応指導教室)、不登校特別校など、学校以外の多様な学習活動を認めるなど、不登校支援の方向性が変化している
ちなみに少し似た概念であるひきこもりは、「6ヶ月以上社会参加していない、非精神病性の現象で、外出していても対人関係がない場合」なので、区別して覚えましょう!
9、いじめ
・身体的攻撃、言語的攻撃、社会的攻撃などさまざまな形態がある
【いじめ防止対策推進法「いじめの重大事態」】
①生命心身財産重大事態:いじめにより当核学校に在籍する児童などの生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
②不登校重大事態:いじめにより当核学校に在籍する児童などが相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき
*不登校重大事案の目安は年間の欠席日数が30日だが、連続して欠席するなど、事態が進行中で喫緊の対応が求められる場合には重大事態としての調査を開始すべきと記述されている
【いじめの重大事態の調査に関するガイドライン】
・ 調査の実施自体や調査結果を外部に対して明らかにしないまま行うことも可能
・ 「疑い」が生じた段階で調査を開始しなければならない
・いじめは被害者・加害者・観衆(はやしたてる)・傍観者(見て見ぬふり)の4層構造で成り立っている
・立場による報告の食い違いも多くみられるため、多面的な視点で事実を確認していく
いじめを受けている生徒から「誰にも言わないで欲しい」と言われても、その心情も含めて校内のいじめ対策委員会に報告し、チーム内守秘義務(集団守秘義務)のもと、学校として生徒の報告を守り、連携しながら対応します
10、非行
・学齢期以降に発現し、学校で問題となる非行は、校内暴力や学級崩壊、不良集団への帰属、いじめ、不登校、学業不振など学校不適応と関連がある
・学校の秩序を維持し、他の児童生徒の教育を受ける権利を保障するために、学校教育法に基づき、出席停止制度を運用する場合がある(出席停止は本人の懲戒という観点ではない)
・出席停止は保護者に対し命じられる(児童生徒本人ではない)。また、あらかじめ保護者の意見を聴取することや、理由や期間を記載した文書の交付が必要とされる
【児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸活動に関する調査】
・ 家族に対する暴力行為は調査対象外
・ 暴力行為のうち器物損壊は学校の施設・設備を対象とする
・ 故意がある行為でなければ暴力行為に該当しない
・ 怪我がなくても暴力行為には含まれる
・ 命令しただけであれば暴力行為には含まれない
*公認心理師試験第2回 問24出題
【暴力行為(校内暴力)の発生率】
・ 小学校では児童1000人あたり6.5件、中学校では生徒1000人あたり8.4件で、中学校の方が高い
・ 小学校の暴力行為件数が急増しており、件数では中学校より多くなっているため、発生率も中学校よりも小学校の方が上になるのは時間の問題
11、生徒指導
・生徒指導提要:生徒指導の実践に際し、教員間や学校間で教職員の共通理解を図り、組織的・体系的な生徒指導の取り組みを進めることができるよう、生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書として、小学校段階から高等学校段階までの生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法などを、時代の変化に即して網羅的にまとめたもの(文部科学省)
・生徒指導提要では、個々の児童・生徒の自己指導能力の育成を目的として、以下の3点に留意して生徒指導を行うことが示されている(生徒指導の3機能)
①児童生徒に自己存在感を与えること
②共感的な人間関係を育成すること
③自己決定の場を与え自己の可能性の開発を援助すること
・教育相談:主に個に焦点を当て、面接や演習を通して個の内面の変容を図ろうとする
・生徒指導:主に集団に焦点を当て、行事や特別活動に置いて、集団としての成果や変容を目指し、結果として個の変容に至る
・積極的生徒指導: 予防のためにすべての子供に対して行われる
・消極的生徒指導: 問題のある特定の子供に対して行われる
12、進路指導・キャリアガイダンス
・ キャリア教育とは、一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通じて、キャリア発達を流す教育のこと。キャリア発達とは、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程のことである
【キャリア教育で育成すべき力:基礎的・汎用的能力】
①人間関係形成・社会形成能力: 他者の個性を理解する力、他者に働きかける力、コミュニケーションスキル、チームワーク、リーダーシップなど
②自己理解・自己管理能力: 自己の役割の理解、前向きに考える力、自己の動機付け、忍耐力、ストレスマネジメント、主体的行動など
③課題対応能力: 情報の理解・選択・処理など、本質の理解、原因の追求、課題発見、計画立案、実行力、評価・改善など
④キャリアプランニング能力: 学ぶこと・働くことの意義や役割の理解、多様性の理解、将来設計、選択、行動と改善など
【学校生活サイクル】
①入学期(入学後1年間):新しい課題や人間関係への移行
②中間期(2・3年生の時期):自分らしさの探究と対人関係の深まり
③卒業期(卒業前の1年間):社会生活への移行準備や未解決の課題の整理
*公認心理師試験第4回 問127出題
13、教師-生徒関係
・ピグマリオン効果:教師が抱く期待によって、生徒の能力・反応に変化が生じる現象。抱く期待が肯定的であれ否定的であれ、期待に一致する方向へ近づいていく。なお、否定的な側面のみを指す場合はゴーレム効果と呼ばれることもある
ちなみに、ホーソン効果とは「相手から目をかけられる(周囲の期待が高まる)ことで、期待に応えたい気持ちから能力(遂行成績)が向上する」現象です。
「え、言ってる事一緒じゃない?」と混乱しやすいのですが、違いとして「ピグマリオン効果は教師と生徒、上司と部下など、上下関係があるなかで発生する現象であり、ホーソン効果は上下関係に限った話ではありません。
また、提唱者も異なっており、ピグマリオン効果はローゼンタールの実験によって、ホーソン効果はアメリカのホーソン工場の実験で明らかになったものです
□教育現場における心理社会的課題と必要な支援
14、スクールカウンセリング
・ 教師に対するコンサルテーションと、児童、保護者に対するカウンセリングを主な業務とする
・ 大学または短期大学を卒業したもので、心理に関する業務又は児童生徒を対象とした相談業務について5年以上の経験を有するものは、スクールカウンセラーに準ずるものとして、チーム学校の一員となり活動することができる
【スクールカウンセリングの種類】
①開発的カウンセリング(一時的援助サービス):全ての子供を対象とする学校全体の教育活動⇨ソーシャルスキルトレーニング・ストレス対処のワーク・心の健康教育など。
・ソーシャルスキルトレーニング: その名の通り社会的スキルのトレーニング。ソーシャルスキルとは「対人的な目標の達成を求める場面において言語的・非言語的行動を適切に実施する能力」で、 その構成要素にはコミュニケーション・自己認識・自己抑制・共感性のスキルなどが想定されている。他者理解・共感性・問題解決等の習得を通じて、社会性の発達に寄与する。(社会的な技術の訓練なので、通常はグループ形式で実施)
・アサーショントレーニング: アサーティブ(主張的)な自己表現を学ぶトレーニング。自己の主張を適切に表現する方法を学び、同時に他者の主張を尊重することを学ぶ。対人スキル、コミュニケーションスキルの発達に寄与する
②予防的カウンセリング(二次的援助サービス):苦戦する可能性が高い一部の子供(登校しぶり・学習意欲の低下・学級での孤立など学校生活で苦戦している・転校生など)の支援
⇨早期発見が重視され、問題が重大になることを予防するために、教師・保護者と連携して援助を行う
③問題解決的カウンセリング(三時的援助サービス):特別な援助ニーズを持つ特定の子供(不登校・いじめ・非行・虐待など重大な問題状況)への支援⇨心理アセスメント・問題の解決にあたる
・教師とは対等な関係性であり、教員に対する一方的な指示や指導は望ましくない
・スクールカウンセラーは原則として家庭訪問を行わない(校内が基本)
*学校長が必要であると認める+保護者の了承が得られる場合は、担任などが同行する前提で、スクールカウンセラーが家庭訪問を実施することができる
・ スクールカウンセラーによる校内での知能検査の実施は、認められている自治体もあれば認められていない自治体もある(認められていない場合は地域の発達支援センターなどに知能検査を依頼する)
15、教育関係者へのコンサルテーション
・学校心理学におけるコンサルテーションとは、 子供を援助する教師や保護者に対する働きかけのこと。教師や保護者と心理士は対等な関係性であることから、心理師からの「指導・指示」と言う表現より「助言・援助」と言う表現の方が望ましい
・教育関係者のコンサルテーションは、あくまで教育活動に関する情報提供や相談業務であり、教育関係者の個人的な葛藤や悩みに対する心理面接ではない。またコンサルテーションは、困難な問題に直面している教育関係者の業務を肩代わりすることではない。
16、コラボレーション
・コラボレーション:異なる専門分野を持つ者たちが共通の目標の達成に向けて、対等な立場で対話しながらチームとして活動を進めていく協働のこと
【コンサルテーションとコラボレーションの違い】
・コンサルテーション:コンサルティ(相談する側)とコンサルタント(相談される側)が存在し、最終的にはコンサルティが自身で活動できることを、コンサルタントが支援していく。そのため、活動の責任は最終的にコンサルティが負うことになる
・コラボレーション:協働であるため、活動の責任を共有しながら、共に活動を計画・実行していく
17、学校危機支援
【学校場面において想定される危機】
・日常的な学校管理下における事故等:部活での事故、熱中症、食物アレルギーなど
・犯罪被害:不審者侵入や誘拐など
・交通事故:通学・通園中、校外活動中の交通事故
・災害:地震・津波や風水被害などによる被害
・その他の危機事象:学校に対する犯罪予告、弾道ミサイルの発射など
【危機管理に必要な項目】
①事前の危機管理:予防するための、体制整備・点検・避難訓練について
②個別(発生時)の危機管理:命を守るための、事故などへの具体的な対応について
③事後の危機管理:復旧・復興するための引き渡しや心のケア、調査について
・全ての職員の役割分担を明確にし、共通理解を図る
・ 家庭・地域・関係機関と連携して児童生徒等の安全を確保する体制を整備するとともに、協働して危険管理マニュアルの作成や避難訓練などを行う
・ 教育委員会などの学校の設置者は、各学校におけるマニュアルの作成・改善等について必要な指導助言を行い、体制整備や事故等発生時に必要に応じて学校サポートする
18、チーム学校
・教師、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、特別支援教育の専門家、家族・保護者などから構成される支援チーム
スクールソーシャルワーカー(SSW)とは、児童の日常生活での悩みや学校でのいじめ、家庭内での虐待といった問題に対して、家族や学校の先生、関係機関と連携を取りながら解決のための支援をするソーシャルワーカーです。
特別支援教育は、日本の学校教育において、障害のある幼児・児童・生徒の自立や社会参加への主体的な取り組みを支援するための指導及び支援を意味する概念です。
【専門性に基づく体制構築の3ステップ】
①教職員の指導体制の充実
②教員以外の専門スタッフの参画
③地域との連携体制の整備
【教育現場における子供たちの4種類のヘルパー(援助者)】
①ボランティア的ヘルパー:友人や地域住民など
②役割的ヘルパー:保護者など
③複合的ヘルパー:教師など(指導者+援助者)
④専門的ヘルパー:スクールカウンセラー、生徒指導・教育相談担当の教師、特別支援教育担当の教師、養護教諭など
・Q-U: 子供の学校生活に対する意識を調査するための質問紙であり、「学級満足度尺度」と「学校生活意欲尺度」の2因子が含まれる
【構成的グループエンカウンター】
・ ロジャースの考案した集団心理療法(ないしカウンセリング)の1種だが、日本でよく用いられているのは國分によって考案された構成的グループエンカウンターである
(3ステップ)
①インストラクション:リーダによるもの。ここからスタート。
②エクササイズ: 課題を通じて感情や認知に揺さぶりをかける
③シェアリング: 変容を目指す
・ ロジャースの考案した非構成的グループと異なり、明確な課題や時間、メンバー、ルールなどの一定の枠が与えられる(構成的)
・課題を調整することによって、時間や内容(内面の深さ)の調整が可能であるため、学級における集団作りなどに応用されることが多い。
・ 自我が未熟な年代であれば学級内の人間関係を良くすることを、思春期以降の年代であれば自己発見などを、それぞれ目的とすることができる
公認心理師試験第3回 問26出題
【ピアサポート】
・ 年齢や社会的な条件が近い者同士(ピアサポーター)による相互のソーシャルサポートのこと(簡単にいうと「仲間同士による相互サポート」)
・目的(3種類)
①「対人関係の構築」: 思いやりのある関係を確立する機会を提供する、リーダーシップ・自尊感情及び対人スキルを向上させる機会を提供する
②「カウンセリング的アプローチ」: 学校のカウンセリング・サービスの幅を広げる機会を提供する
③「問題解決」: 傾聴や問題解決スキルなど他者を援助するスキルを習得する機会を提供する
⇨プログラムではこれら全ての能力、もしくは1部の能力について、児童・生徒のスキルや動機付けを高めることを目指す
・チームティーチング: 学校組織において教員がチームとして役割分担しながら指導計画を立てること
19、教育評価
・教育評価: 教育に関連するあらゆる事象の評価を含む概念であり、 カリキュラム評価は教育評価の1部
・潜在的カリキュラム: 正式に決められているカリキュラムのほかに、教師や学校が暗黙理に学習者に求めている学習内容であり、例えば「教員に従うこと」などである
・ルーブリック: 学習到達度の評価方法として取り入れられる手続きのこと(学習者の学習評価)パフォーマンス課題(レポートや実習、グループワークの成果など)の評価方法を画一化し、評価者が異なっても安定した評価をできるよう「評価の観点」と「評価基準」を明示した上で、 どこまでできていればどのように評価するか、明確に示したもの。
・診断的評価:単元初め、学年初めに行われる指導計画を立案するための評価
・形成的評価:学習指導の進行中に行われ、教師の指導法や児童・生徒の学習活動の改善に用いられる
・総括的評価:学期末や学年末の最終的な学習評価
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・この記事は赤本 公認心理師国試対策2022 (KS心理学専門書) を用いて要約しています。
・公認心理師受験専用に様々な参考書がありますが、私はこれ1冊を徹底的に使い込むだけでも合格点は目指せると考えています!
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