【サラリーマンは読むべき】第11章:社会及び集団に関する心理学・公認心理師試験対策【キーワード27選!】

赤本 公認心理師試験2022

 

この大項目で最も出題が多い内容は、傍観者効果です。ですが、他の内容に関しては「これが多く出題される」という明確な内容はありませんので、幅広く学んでいきましょう!

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【サラリーマンは読むべき】第11章:社会及び集団に関する心理学・公認心理師試験対策【キーワード27選!】①
1、傍観者効果 2、個人内過程、集団過程 スタンドFM

【サラリーマンは読むべき】第11章:社会及び集団に関する心理学・公認心理師試験対策【キーワード27選!】②
 3、社会的スキル 4、対人ストレス 5、親密な対人関係 6、社会的影響 7、社会的ジレンマ 8、社会的アイデンティティ 9、ソーシャルネットワーク・ソーシャルサポート 10、集合現象 11、集団、組織 12、社会的自己、自己過程、態度 13、帰属 14、社会的動機 15、社会的認知 16、対人認知、印象形成 17、社会的推論 18、対人行動、対人的相互作用 スタンドFM

【サラリーマンは読むべき】第11章:社会及び集団に関する心理学・公認心理師試験対策【キーワード27選!】
19、家族関係 20、養育信念・家族の情動的風土 21、不適切な養育 22、家庭内暴力、夫婦間暴力 23、家族システム論 24、家族療法 25、生態学的システム論 26、異文化適応・異文化間葛藤 27、役割取得(社会的視点取得) スタンドFM

1、傍観者効果

多くの他者の存在により、単独時にはなされる援助行動が抑制されること

助けに行けるのが自分一人しかいない場合は助けに行くのに、自分以外にも多くの人がいると、誰も助けに行かなくなってしまいます。このようなことが起こる原因は大きく3つあります。

【傍観者効果が起こりやすい理由】

多元的(集合的)無知:多くの人が採用している考え方が自分の考え方と違っていても、多くの他者が採用している考えが正しいと推論してしまうこと

誰も助けに行かない他者の様子を見て「これは誰も助けに行かなくても良い状況なんだ」と考えてしまいます

評価懸念:多くの他者から観察される状況だからこそ、自分の援助介入が適切か他者に評価されてしまうと考えてしまい、援助行動が躊躇されてしまうこと

「みんなが見ているところで、うまく助けられなかったらどうしよう」と考えてしまいます

責任の分散:多くの他者がいるからこそ、個々が感じる責任が少なくなってしまうこと

自分がリスクを負ってまで助けなくても良いと考えてしまいます。

このような3つの原因が絡み合い、結果として誰もが見てみぬふりをしてしまうのが、傍観者効果と呼ばれる現象です。

傍観者効果といじめ:この傍観者効果はいじめのメカニズムとしても理解することができます。いじめは、被害者・加害者・聴衆・傍観者の4層構造で成り立っていると言われており、いじめを確認しつつも見てみぬふりをしてしまう傍観者の存在が指摘されています

傍観者効果の対策:傍観者効果は、「本当は助けなくても良いのではないか?本当に助けられるだろうか?」と言った状況の不確定さが生み出しているとも言えます。そこで、状況の不確定さを取り除くことができれば傍観者効果を防ぐことができると言われています。

⇨援助が必要な緊急事態であると、確信を持って他者に伝える

⇨いじめの場合、曖昧さを払拭し学校が「いじめである」と認定する

こうすることで、緊急性の確信が生まれ、必要な援助行動を促すことができると言われています。

援助行動に関わる認知プロセス5段階:ラタネとダーリーが提唱】

重大事態の発生の知覚:何か深刻な事態が生じているという認識

緊急性・援助の必要性の知覚:事態が危機的状況であるという認識

多元的(集合的)無知の影響を受ける

その援助を自分がすべきという責任の認知:自分に助ける責任があるという認識

責任分散の影響を受ける

その援助に関わるコスト・自己効力の認知:どうやって助ければ良いかを自分は知っているという認識

評価懸念の影響を受ける

実行

□対人関係並びに集団における人の意識及び行動についての心の過程

2、個人内過程、集団過程

・個人内過程に関する理論の代表として、認知的不協和理論が挙げられる。認知要素間の矛盾がある場合、その矛盾から逃れるために認知を変容させるという、フェスティンガーの理論

【認知的不協和が関わる現象・例】

禁煙の困難さ:「タバコを吸うことはリラックスの元」という認知が成立しやすく、「タバコは体に毒」という不協和な認知は過小評価されやすい

説得や依頼における段階的要請(フットインザ法):「交通安全運動に賛成」という認知を作った人々が、次の要請に応じて不恰好な看板を自宅に立てることを承諾するようなことで、「交通安全運動に賛成」という不協和を起こさない決定をしたと解釈できる

入会におけるイニシエーション(参加儀式・通過儀式):宗教団体などの特殊な集団への入会儀式のことを指し、「自分は手間のかかるイニシエーション(参加儀式)を行った」という認知要素と協和する「その集団への入会は手間をかける価値がある」という認知が成立しやすい

すでに購入した製品のパンフレットや広告の閲読:「自分はその製品を買った」という 認知要素と協和する「その製品は長所・優越性が多い」と言う認知を得やすく、逆に「その製品はいまいちだ」と言う不協和な認知を回避することができる

 医療職で言えば、「過酷な労働環境だが給料が安い」⇨「現在の労働に、お金では買えない価値がある」と認知を変えることで矛盾を逃れようとすることも当てはまるかもしれません。

・集団過程は、同一集団内に生じる集団内過程と、複数に集団間に生じる集団間過程に大別される

・集団内過程の例として、集団の意思決定が極端な意見になりやすいという集団極性化の理論が挙げられる。結果として集団内で生じやすい浅はかで短絡的な結論集団思考集団浅慮ともいう。特に集団思考が、集団内の同調圧が高い場合に起こりやすい。危険な意見に偏ることをリスキー・シフト、安全な意見に偏ることをコーシャル・シフトという

【集団思考】

・同調圧の高い集団では出やすくなる

・集団意思決定の質は個人による意思決定に比べて劣っている

・集団的凝集性(集団構成員間の親密性)が高い時、思考や発言が抑制されやすい

集団極性化:集団の意思決定が極端に安全であったり、極端に危険であったりと、二極化しやすい傾向のこと

集団錯誤:集団が個を超えた意思を持つというヨーロッパの伝統的価値観を否定し、その集団への誤った認識のことを集団錯誤と呼んだ

少数者の影響:集団内の少数者が一貫した態度を取り続けることによって、集団全体に影響が及ぶ「革新」と呼ばれる現象が発生することを明らかにした(ブルーグリーンパラダイム実験)

・集団間過程に関する理論として、集団間情動理論や脱カテゴリー化が挙げられる

集団間情動理論:外集団成員から内集団成員に攻撃が加えられることで、直接攻撃を加えられていない者も怒りを感じるなど、個人とは異なった集団成員としての典型的な情動が生じやすくなること

自己カテゴリー化:自己の所属する手段を内集団、それ以外を外集団として識別すること

脱カテゴリー化:外集団成員と接触し対人関係を築くことにより、内集団カテゴリーを解消し、集団間葛藤や偏見を解消すること。「関東人」「関西人」のカテゴリーに対し「日本人」を設定するなど、上位カテゴリーを設定することで1つの内集団にし、集団間葛藤や偏見を解消することを再カテゴリー化という。

内集団と外集団にカテゴリー化されることで集団間葛藤が生じ、内集団と外集団の境界線が曖昧になることで、集団間葛藤は解消されると考えられている。シャリフのサマーキャンプ実験では、敵対していた2つのグループに対し共同作業を与えることで、2つのグループが1つの内集団となり、集団間葛藤が解消される様子が示された

[NEWS] 価値観の違う他人と仲良くなれるか? ビール大手ハイネケンが実験しました

この理論を聞いて、僕はこの動画を思い出しました🙄価値観の違いや争いはなぜ生まれ、どうすれば解消できるのかについて考えられる動画なので、勉強休みによければ見てみてください😙

3、社会的スキル

・ 対人場面において必要とされる機能のこと。代表的なものとして「傾聴する」「相槌を打つ」「適切に自己開示する(アサーション)」「批判に対処する」「怒りに対処する」などが挙げられる

・ 社会的スキルを獲得するための訓練を、ソーシャルスキルトレーニングという

4、対人ストレス

・ 人間関係に起因するストレスを対人ストレスと言う

・対人葛藤は以下の3つに分けられる

接近ー接近型:同程度に魅力的な事柄が2つあり、いずれかを選択しなければならない場合

例えば、仕事も頑張りたいし、プライベートも充実させたいときです!

回避ー回避型:同程度に避けたい事柄が2つあり、いずれかを選択しなければならい場合

例えば、会社に行きたくないが、家にもいたくないときです!

接近ー回避型:1つの事柄が肯定的な面と否定的な面を併せ持つ場合

例えば、仕事は嫌いだが、給料が魅力的なときです!

周囲の期待に応えようと、自分の感情や欲求を抑え、精神的にも身体的にも無理をして行動してしまう傾向過剰適応傾向という。

過剰適応傾向の人は、多くの場合「いい人」と思われているため、抱えている葛藤やストレスが表面化しにくく、発見されにくいと言われています

他者から援助を受けた際に、お礼をしなければならないという義務感や、相手に迷惑をかけたという思いが生じる負担感を、対人的負債感という。(特に日本人はこれを感じやすい。)

5、親密な対人関係

・対人魅力は、相手との態度の類似性(社会的比較理論)、よく出会うという近接性(単純接触効果)、身体的魅力による外見性などによって決定される

社会的比較理論: 他者と比較することで自分自身を理解しようとすること。この時、自分の意見や価値観が妥当であることを確かめるため、比較対象は類似した他者が選ばれやすい

単純接触効果: 対象と接触する機会が多いほどその対象への好意度が高まること

利用可能性ヒューリスティック単純接触効果により想起しやすい記憶や情報を、価値が高いと誤認しやすいこと

マッチング仮説:類似した相手の方が、意見や価値観が肯定されやすく、好意的な評価が形成されやすいこと

社会的交換理論:過去に相手から受けた利益の見返りとして、あるいは今後の見返りの期待のもと、相手に利益(物理的・経済的な報酬、愛情や満足感など)を提供しようとすること。相互依存理論やアダムスの衡平理論など、複数の理論の総称でもあるこうへい

互恵性ごけいせい理論:ガードナーが提唱。社会的交換理論の一種としての互恵性理論を想定し、 他者から受けた援助や行為に対し、同程度の援助や行為を返すことが、社会関係を維持する暗黙のルールとなっていることを仮定する

接近的コミットメント:楽しみや喜びといった関係をつづけたり相互作用したりする中で得られる快適さを得るため、関係を続けようとする心的状態。逆は回避的コミットメントと呼ばれる。

好意の返報性: 特定の相手からの好意を知覚することで、その相手の行為が強まる(行為の返報が起こる)こと

情報的影響:より正しい判断をするために他者の意見や行動に同調すること

恋愛にも応用できそうな心理学ですね!職場内結婚が多いのも、社会的比較理論や単純接触効果の影響かも!

6、社会的影響

・ ある個人や集団が、他者の態度、行動、感情を変容させること

・他者の存在により個人の作業成績が促進することを社会的促進、その逆を社会的抑制という。 他者の存在により、覚醒水準が上昇するためと考えられている

・態度変容に関する代表的な理論にスリーパー効果がある。信憑性の低い者の説得ははじめ効果を持たないが、送り手の説得効果は時間とともに分離し、メッセージの内容のみが残るため、最終的に説得効果が増大する現象のこと

7、社会的ジレンマ

・ 個人と集団、または個人と社会の間に存在する利害構造のこと。囚人のジレンマが代表的。

BB
黙秘自白
A黙秘A 懲役一年
B 懲役一年
A 懲役15年
B 不起訴
A自白A 不起訴
B 懲役15年
A 懲役10年
B 懲役10年
囚人のジレンマの一例

囚人のジレンマ・解説

①両方が協力して黙秘を選択すれば、お互い懲役一年ですむ

②片方が裏切り自白すれば、裏切った側は不起訴、裏切られた側は懲役15年

③両方が裏切った場合は、ともに懲役10年

⇨裏切れば不起訴で済むが、相手も裏切ってしまうと、互いに協力した時よりも損をしてしまう。

⇨このように、各人が自分だけの利益を追求すると、互いに協力した時よりも悪い結果を招いてしまう状況を「囚人のジレンマ」という

8、社会的アイデンティティ

・「我々」をなぜ、いつ、どのような集団成員として規定しているかに関する意識のこと。対して、独自の「私」を規定している意識を、個人的アイデンティティと呼ぶ

・社会的アイデンティティの 形成要因について、タジフェルとターナーらは、カテゴリー化、自己効用の動機付け、社会的比較過程の3点を挙げている

・自分の所属集団が評価されたと自分が評価されたように感じるのは、社会的アイデンティティによるもの。よって、自分の所属集団(内集団)に対する好意的な評価が形成されやすい。これを内集団ひいき(内集団バイアス)という

・ 内集団ひいきは、自己高揚動機(自尊感情を高めることに対する動機付け)に基づいており、自己と同一視している内集団を好意的に評価し、一方で外集団(内集団以外の集団)を軽視することを通じて、自尊感情の高揚をしようとする結果とされる。

・ 外集団は内集団に比べて低く評価され、非好意的に扱われることになり、これを外集団差別と呼ぶ。この外集団差別が社会的に生じると「社会的排除」つまり「差別」となる

9、ソーシャルネットワーク・ソーシャルサポート

・ソーシャルサポートとは、他者から得られる有形・無形の援助のこと

・ソーシャルサポートは、情緒的(励ましや愛情)、道徳的(金銭や助力)、情報的(情報や助言)、評価的(フィードバックや意見)に大別できる

・個人の社会的関係や社会参加の程度によって形成される他者や社会との結びつきであるソーシャルネットワークの存在が、ソーシャルサポートを得るための前提となる

10、集合現象

流言デマ・パニックなど、群衆が形成されることによって生じる現象のこと

流言とは、社会的に重大な影響がある噂のこと。

ある商品の供給低下が噂されて、人々による過剰な購買行動が起こるなど、社会的不安状況に置いて流言は発生しやすい。デマやパニックも同様に、不安状況において発生しやすいです。

11、集団、組織

・自分が所属する集団を内集団、所属していない集団を外集団という

集団や組織に所属する構成員を自発的に留まらせる力のことを、集団凝集性という。構成員の多くが外集団よりも内集団を高く評価し、今後も所属したいと思うほど集団凝集性が高いと判断される

自分の態度、判断、行動の基準として採用している集団のことを、準拠集団という。準拠集団はいわば「憧れの集団・模範となる集団」であるため、実際に所属している集団とは限られない。また映画や物語上の架空の集団が準拠集団となる場合もある。

□人の態度及び行動

12、社会的自己、自己過程、態度

・ 自己は、自身の経験だけではなく、他者との比較である社会的比較によってももたらされる

・人の多面的な自己概念は、全てが常時同じように活性化し、参照されやすい状態にあるのではなく、その時の文脈に応じた部分が活性化されている(作動的自己概念)。そのため、場面によって同じ人でも態度が異なることがある。

 確かに自分たちも、自然と人によって態度は変えています・・・

13、帰属

帰属(原因帰属)とは、原因を推論し、因果的な解釈を行うことである。

・努力や才能など、自身の内的要因に帰属すること内的帰属、環境や運など、自身の外的要因に帰属すること外的帰属という。

・どのような帰属を行うかは、自分の行動が何によって統制されていると考えているか、と言い換えることができる。

例えば、外的帰属を行いやすい人は、「自分自身の力だけでは変化を起こすことはできない」といった自己統制感の低さが挙げられます。

・そのため帰属の個人差は統制の所在(ローカス・オブ・コントロール)とも呼ばれる

・他者の行動に対して、状況要因を十分に考慮せず、他者の内的属性に基づく行動と判断しやすいこと対応バイアスという。

・行為者が状況要因による外的帰属を主張する場合でも、その行動を観察している者は、対応バイアスに基づき行為者に内的帰属を求める傾向を、行為者・観察者バイアスという。

・ 状況要因を十分に考慮せず、行為者の内的特性を重視する傾向は基本的帰属エラーと呼ばれる

・失敗の原因が自身にあると判明すると自尊心が傷つくため、失敗が予想される前に、失敗に至る外的要因が存在していたことをあらかじめ主張しておくことを、セルフ・ハンディキャッピングという

後輩など、自分より立場が低いものを観察するときに、特に行為者・観察者バイアスには注意ですね!

14、社会的動機

・他者と良好な関係を築きたいという親和動機、他者よりも優れた成果や結果を手に入れたいという達成動機などが代表例として挙げられる

アトキンソンのモデルによれば、達成動機が高い者は成功率50%に近い課題を好み、達成動機が低いものは成功率0%100%に近い課題を好むという

15、社会的認知

・他者の表情や声などの手がかりから他者の思考、意図、感情などを認識すること

自己中心性バイアス:他者の心的状態の推論を行う際、自己の知識や認知を基準とするために偏った推論が発生するという認知的バイアスの一種

・自分の内面を、他者が実際以上に理解していると誤解することを透明性の錯覚(透明性錯誤)という

髪きった後に気にしていると「自意識過剰すぎ!」と、友人に言われるあの現象です!

スポットライト効果:当人が「他者に見られている」という認識ほど実際の他者は見ていないことを表す効果

・自分の成功については内的要因を、自分の失敗については外的要因を重視する傾向をセルフ・サービング・バイアスという

・ 人物のある側面を好意的に判断すると、他の側面も好意的に判断する傾向を、光背効果(ハロー効果)と言う

疑似相関:実際には無関係の2変数が、第三の変数の影響により、数量的関係において相関を見せる現象のこと

錯誤相関: 本来相関のないデータに、相関を見出してしまう現象のこと。「A型の人が几帳面」と言うように、ステレオタイプ的な認知と関連している

16、対人認知、印象形成

アッシュは提示された形容詞をもとに人物の印象形成を行わせる実験を行った。提示された形容詞は、「あたたかい」「つめたい」以外は全て同じであったにもかかわらず、「あたたかい」を含んだ人物の印象が好意的に形成された。

・また、提示された形容詞のうち最初の形容詞が全体の印象を形成しやすいことも示された。

・ この実験から、対人認知に大きく影響及ぼす中心特性の存在(あたたかい、つめたいなど)や、提示順の効果である初頭効果の存在が示された

ゲシュタルトモデル: 人の印象判断は、個々の特性の単なる総計ではないとされる。まず個々の特性の総計を超えた全体性(ゲシュタルト)が成立し、そのゲシュタルトにより個々の特性の解釈がなされる

ピグマリオン効果: 他者から肯定的に期待されることにより、期待された人の学習や作業などの成果が向上する現象

ゴーレム効果: 悪印象を持って接することで、その印象が現実のものとなる現象のこと

17、社会的推論

・自己や他者の内的状況や特徴、集団の特徴や社会的状況に関しての評定から新しい結論を導き出す心的過程のこと

・対象人物がある人格特性をもつか推論するにあたり、期待される行動のみ注目し反証行動には注目しない確証バイアスが社会的推論の例として挙げられる

確証バイアス:自分の持つ仮説を裏付ける根拠のみを採取し、仮説を覆す根拠には認知が及ばなくなるという認知傾向

自己奉仕的バイアス:「自分の成功については内的要因を、自分の失敗については外的要因を重視する傾向」のこと

自己評価維持モデル:「心理的距離」「自己と他者の遂行」「自己関連度」の3つによって自尊感情の低下を防ぐための行動を説明するモデル

プロスペクト理論: 人間は報酬よりも損失を重大に認知しやすいため、損失の回避を選択する傾向が強いこと

・フレーミング効果: 物事の見せ方(フレーム)を変えるだけで、本来同じであるはずのものが違って見えてしまうこと

例えば、本当は等価であるはずの「10%死亡」と「90%生存」の心理的な重みが等しくなく、「10%死亡」の方が重大に感じやすいことです。

18、対人行動、対人的相互作用

・ 攻撃行動は身体的攻撃、言語的攻撃、社会的攻撃(無視したり仲間外れにする)に大別される。

・攻撃行動の発生理由の主なものとして、攻撃的な衝動による内的衝動説、不快な感情の発散を目的とする情動発散説、何かを達成する手段として攻撃を選択する社会的機能説の3つが挙げられる

・ 援助行動については、多くの他者の存在により援助行動が制限されると言う傍観者効果の研究が代表的である。(3つのメカニズム)

多元的無知:多くの他者がいる状況で危機的な事態にあるものを発見した際、事態が危機的状態であることを認識しつつも、周囲の他者が援助介助に入らないことで、援助を必要としない事態なのではないかと錯覚する

責任の拡散:周囲の他者がいることで、助けに入るのは必ずしも自分である必要はないと考えやすくなる

評価懸念:周囲の他者がいる故に、適切な介入方法が浮かばない場合であってもなんとか助けてみようとは思いにくく、介入の失敗を恐れてしまう。結果として多くの他者の存在が、多くの傍観者を生んでしまう。

他者と協力することにより、個々の作業量が低下する社会的手抜き(リンゲルマン効果)の研究などが有名である

 それぞれ傍観者効果がおきやすい理由について述べられています!大きな組織は社会的手抜きにも注意ですね!

□家族、集団及び文化が個人に及ぼす影響

19、家族関係

家族成員間の境界が曖昧になり、それぞれの自律性が失われている家族纏綿てんめん膠着こうちゃく家族という。家族が特定のメンバーに依存していることが多く、社会に対する閉鎖的な態度を示すことも多いため、関係の悪化が発見されずに進行しやすい

家族成員間のコミュニケーションに欠け、家族成員が分断してしまっている家族遊離家族という。家族内の緊張や不安が高まりやすく、不安定になりやすい。

20、養育信念・家族の情動的風土

・ 子育てや、親であることに対する個人の考え方や捉え方、意識、理解などを養育信念といい、育児に影響する

家族の情動的風土:家族成員間で日常的に、どのような種類の情動がどのように表出され、受け止められているかと言う全体的な特徴のこと

21、不適切な養育

・不適切な養育のことをマルトリートメントという

・マルトリートメントの背景要因として、親の養育態度や自尊感情の低さ、子供の気質(生まれ持った性格特徴)、発達障害の有無、経済的な困窮、生活環境(未婚、単身、孤立など)など多岐にわたる

【ベイスキーのモデル】

・親の養育行動(ペアレンティング)に直接影響すると考えられているもの

①夫婦関係

②パーソナリティ特性

③仕事

④ソーシャルネットワーク

⑤子供の気質

*第二回公認心理師国家試験に出題(問110)

ある1つの要因がマルトリートメントを引き起こすわけではないため、多角的な視点でアセスメントすることが求められている

・不適切な養育が、愛着形成の不十分さや、 子供の発達の遅れを引き起こす事はあるが、愛着形成の不十分さや子供の発達の遅れが見られたからといって、不適切な養育が行われているとは限らない点に注意したい

・ 繰り返される体罰によって前頭葉が萎縮しやすいなど、脳の器質的な変成が発生することが明らかにされている

・マルトリートメントは、反応性アタッチメント障害との関連が指摘されている

・ 支援の際、養育態度に対する内省は必要だが、最初は養育の困難をねぎらい、受容・共感するところから始める

22、家庭内暴力、夫婦間暴力

配偶者だけでなく、婚約者、彼氏、別れた彼氏、離婚した配偶者からの暴力も含む。このことから、親密なパートナーからの暴力を意味するIPVが用いられるようになってきている

・家庭内暴力も夫婦間暴力(DV)も、被害者の心理的特性として、共依存相手に依存されることにより、自己の存在価値を確かめようとする特性・依存されることに対する依存)の問題が指摘されている。

23、家族システム論

・家族を1つのまとまりを持った複合的なシステムと捉える考え方。家族療法の基礎理論

・家族成員同士が円環的に影響を与えあうという円環的因果律の考え方に基づく。なお、原因と結果の方向性が一方向であるものを、直線的因果律という

例えば、子供の不登校を考えてみると
直接的因果律: 不登校の原因は、子供が学校生活に適応できないため
円環的因果律: 学校生活に適応できない背景に、妻から子供への過保護的な養育態度や、夫から子供への過剰な期待がある。過保護的な養育態度になる背景に、夫婦関係の不安がある。子供の不登校は、このような家族システムの問題が表面化したに過ぎない。

・ 家族システムには、「家族」という上位システムと、「夫婦」「兄弟」などの下位システムが存在するという多重構造を想定している

一般システム論: 要素が集合することで、要素の総和では無い一定の機能を持つに至った状態を「システム」と言う概念で説明した。ベルタランフィが提唱。

システム

「 相互作用の関係の内にある諸要素の複合体」であり、「複数の諸要素が集まって1つの働きを生むまとまり」と定義される。その特徴は「全体性」「自己制御性」「変換性」の3点とされる

・ システムは、全体として安定を保ってはいるものの、その中で常に小さな「ゆらぎ」があり、微小な変化が生じているものと仮定されている

・ ブリーフセラピーの一派であるソリューション・フォーカスト・アプローチでは、この小さな「ゆらぎ」を例外とみなして着目し、その拡大を通してシステム全体の第二次変化を目指す

ファースト・オーダー・サイバネティクス: システム論の考え方の1つであり、観察者から観察されたシステムを扱うという考え方である。

セカンド・オーダー・サイバネティクス: 観察者もシステムの一部とみなし、観察者が観察するシステムを観察すると言う考え方

24、家族療法

・家族を 個人の単なる総和として見るのではなく、互いに影響与え合うひとまとまりの単位とみなして、心理療法の対象とするアプローチのこと

・ 家族療法では、問題行動や症状を抱えていると認定された人物IPと呼ぶ。IPの抱える問題行動や症状は、個人だけでなく家族のSOSとみなす

学派代表的な人物主な理論
コミュニケーション派Bateson(ベイトソン)二重拘束説
ミラノ学派Palazzoli(パラッツォーリ)逆説処方
多世代家族療法派Bowen(ボウウェン)世代間伝達
戦略派Erickson(エリクソン)リフレーミング
構造派Minuchin(ミニューチン)ジョイニング
家族療法の各学派と代表的な人物・理論

二重拘束説

・ダブル・バインド(二重拘束)とは、言語的なメッセージと非言語的なメッセージの両方が矛盾して発せられ、どちらに従って行動しても当の相手を満足させられないような状況のことであり、 統合失調症の原因となるとされた。

ベイトソンは、家族内の異常なコミュニケーションが統合失調症の原因となるとし、家族療法(家族システムの不全が社会適応に対する障害を発生させるとする家族システム論に基づく治療)の原型を作った人物

・例えば、家族システムに基づく緊張がある中、母が子に対して役割としての優しい言葉をかけたとしても、表情や声色には優しさがこもらず、むしろ不快な様子を読み取れた時、子供は戸惑い、反応できなくなる。これがダブルバインドである。

・この時の、言語と同時に表情などを通じて相反するメッセージが伝えられる時、それがベイトソンの言うメタ・コミニケーションである

逆説処方:症状の治癒とは矛盾するような介入を行うことで、そこから逃れられないという性質を治療的に利用する(治療的ダブルバインド

世代間伝達:虐待を受けた子どもが、大人になって自分の子どもに対して親から受けたのと同じような虐待をしてしまう。 このように世代を超えて虐待が伝達されていくことを「虐待の世代間連鎖」(あるいは世代間伝達)と呼ぶ。ジェノグラムを用いて家族投影プロセスや、多世代伝達過程の情報を収集。それに基づいて家族関係を変化させる。

リフレーミング:意味づけを変容させること。たとえば、子供の問題行動は迷惑行為であるが、子供は問題行動を起こすことで両親が協力するきっかけを作っている、と意味づけを変えることができる。

ジョイニング:ジョイニングは、参入や仲間入りという意味であり、家族の中に直接的・積極的に参加する技法

25、生態学的システム論

システム内容
①マイクロシステム個人を取り巻く環境子供の家族、学校、近隣
②メゾシステムマイクロシステム間の相互関係家族・学校・近隣とのつながり
③エクソシステム間接的な影響を与える環境要因家族の友人、行政サービス等
④マクロシステム全体を取り巻くシステム現代の文化・態度・価値観
⑤クロノシステムライフイベントや時間的な流れ時間の変化、ライフイベント
生態学的システム論

マイクロシステムの外側にメゾシステム、さらにその外側にエクソシステム、さらにその外側にマクロシステム、さらにその外側にクロノシステムという多層的な環境システムのモデル。ブロンフェンブレンナーによるもの。

豆まくぞ→少しなまったイメージで⇨「まめえまくろ」(各頭文字で)と覚えましょう!

26、異文化適応・異文化間葛藤

異文化適応とは自分とは別の文化的背景を持つ個人、集団、社会に適応すること

異文化間葛藤は、俗にいうカルチャーショックとして知られている。異文化に出会い、培ってきた思考や価値観が揺るがされ、所属文化において多く用いてきた行動が通用しない場合に生じる、様々な心身の不適応状態のことである。

・異文化への接触は、全てが珍しく興奮する蜜月期、心身の不調が目立つカルチャーショック期、現地に適応していく適応期、母文化に復帰しようとして元の生活に馴染めず苦労する復帰ショック・再適応期の4つの過程を経るとされる

なかやまきんに君がアメリカ留学した際に、いわゆるカルチャーショックのような状態になっていたと以前テレビで明かしていました。勉強休みにみると少しイメージがつくと思います!

なかやまきんに君、筋肉留学でジム行くペースが激減!?アメリカでのしくじり|しくじり先生

27、役割取得(社会的視点取得)

セルマンが提唱した役割取得(社会的視点取得)の発達段階

レベル0(自己中心的役割取得)自他が未分化で区別されていない

レベル1(主観的役割取得)自他の区別がつくようになるが、他者の視点を持つことは難しい

レベル2(自己内省的役割取得):他者の視点から自己の思考や行動を内省できるようになる

レベル3(相互役割取得):自分と他者以外の、第3者の視点をとることができるようになる

レベル4(象徴的相互交渉の役割取得)多様な視点が存在する状況を理解できるようになる

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・この記事は赤本 公認心理師国試対策2022 (KS心理学専門書) を用いて要約しています。

公認心理師受験専用に様々な参考書がありますが、私はこれ1冊を徹底的に使い込むだけでも合格点は目指せると考えています!

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