1.患者の歩行状況、転倒状況を問診で把握する。意識して運動をしている方は賞賛する

・フレイル、サルコペニアの診断基準でも、歩行速度1.0m/未満を目安としている(信号が青になった後に赤に変わるまで横断歩道を渡りきれるか)
・転倒、転落による死亡者数は高齢になるにつれて増加する
・転倒の要因は、生物(歩行、バランス、視覚、骨粗鬆症、薬剤)、心理(認知機能、うつ)、社会(周辺環境、器械利用時、自宅)というカテゴリーでまとめるとわかりやすい
・運動強度の単位としてメッツ・METs(安静時を1として何倍のエネルギーを消費しているか)を使用する。
・身体活動の量を表す単位をエクササイズ・Ex(METsに身体活動の実施時間をかけたもの)と呼ぶ
・65歳以上の場合身体活動の基準は、強度を問わず10Ex/週以上行うことを推奨されている。


「普通歩行を1時間すると3EXとなるので、それを週に3回程度やれば9EXですね。
または普通歩行を20分(1EX)毎日行えば、1EX×7で7EX。
その他は家事や生活動作で、最低週に10EXはいきそうですね。
無理のない適度な運動を入れるだけでも、効果はありそうです。
高齢者に運動のアドバイスをするときも、継続できるレベルを話し合って、決めていけると良いですよね。」
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2.患者の歩行を診る。重心と安定性が大切。移動手段を確認する

・重心をみる(加齢により円背→骨盤後傾→膝を曲げないと重心が保てない→このバランスが崩れてないか)
・安定性をみる(支持基底面が広いほど安定する)
・多くの高齢者は自動車を靴がわりに利用している(免許返納している場合、特典を提示する自治体もあるので、情報提供をする)
・視力を評価する(加齢に伴い白内障や緑内障などによって視力や視野に変化がおきる。歩行や転倒の大きな原因となる。)
「歩行能力の評価といえば、理学療法士がプロフェッショナルですが、その他の医療従事者も、最低限の評価はできても良いかもしれません。
これは感覚で、話も逸れますが・・・
言語聴覚士であっても、歩行能力が獲得できるならor獲得しているなら、活動量も増えるし、高次脳機能面は伸びそうかな。
とか、
体幹は安定しているから、嚥下機能もそこの影響はなさそうかな。
とか、
歩けているということは、失語タイプ的にも感覚性なのかな。
とか、予測因子の一つで考えることもあります。
専門分野の勉強はもちろんですが、広い視点で患者さんを診れるためにも、広い知識は必要なのかなと感じます。」
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3.歩行補助具が必要かを見極め、適切な使用方法のアドバイスをする

・歩行を観察し、姿勢が不安定な場合は、重心の安定や支持基底面の拡大をめざすために歩行補助具を提案する
・T字杖は100円ショップでも購入できるが、丈夫なものを介護ショップで購入することをお勧めする
・T字杖の購入、レンタルは介護保険を利用できないが、他の補助具(4点杖、固定式歩行器など)は介護保険の利用でレンタルできることを必要に応じて情報提供する
・杖は適切な長さのものを使用しないと転倒の原因になる

「このあたりの話も、病院に勤めている限りはPTさんが基本的にやってくれます。
ですが、身の回りの高齢者など、転倒を繰り返している人に対して、杖の重要性などを情報提供できることは有益なのかと思います。
介護保険サービスについても、やはり医療従事者として勉強していないと、患者さんにとっても不利益になるので、最低限の知識は習得しなければと感じます。」
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本日も引用は
でした!
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