今日の「病中病後のリハでは炭水化物を前投与すべき?」に対する結論は
・重症病態の病中病後は栄養代謝の障害を考慮すべし
・時にはリハビリ直前に炭水化物の投与を考える
となります。
ちなみに健常人やアスリートにおける栄養摂取は基本的に運動の後がゴールデンタイムと言われています。
この理由としては栄養摂取を先行させると満腹で集中力を低下させたり脂肪燃焼効率が悪くなったりするからです。
(正直自分はこれを知らず、逆に運動前には炭水化物を摂取していましたが、脂肪燃焼効率で考えると不利なんですね。)
しかし病中・病後は逆転し運動前に摂るのが基本戦略になります。
これは運動に必要なエネルギーの代謝に多大な問題発生しているからです。
運動にまつわるエネルギーの代謝は「クレアチンリン酸→解糖系(糖代謝)→有酸素系(脂肪代謝)の順に動員されます。
健常人では全ての代謝が問題なく行われ、特に貯蔵された十分なグリコーゲンを利用することで前述の戦略をとることができます。
一方で病中病後はこれらの代謝とグリコーゲン貯蔵に障害を抱えていることがあるので、特に持久力に関して大きな問題となり、エネルギー(特にすぐに使用しやすい炭水化物)を摂取しながら運動するという流れを考えなくてはならないのです。
このエネルギー代謝障害は次の3つです。
1.クレアチンリン酸(回復が遅い)
2.グリコーゲン(通常蓄えられているが、激減している可能性がある)
3.脂肪酸(脂肪代謝がうまくいかない)
このように病中病後は全てのエネルギー代謝が障害されており、特に自己のエネルギー源をうまく利用することができません。
よって運動前に炭水化物を摂取することが重要で、リハビリテーション系の栄養製剤はアミノ酸と炭水化物がそれぞれ十分に配合されたものが多いのはそのためです。
重症の病中病後にこれらの製剤を投与するなら、リハビリ直前に摂取することも考慮する必要があります。
病院や施設では、このような栄養製剤もあるかもしれませんが、コストの問題なども考えると、手軽なおやつ(牛乳・ヤクルト・ヨーグルトなど)のほうが一般的なイメージがあるのですが、どうなんでしょうか?
栄養戦略として考えるなら、おやつの内容も変わってくるのかもしれないですよね。
ちなみに栄養成分を調べたところ・・・
【牛乳】
栄養成分 1本(200ml)あたり
エネルギー 137kcal
たんぱく質 6.8g
脂質 7.8g
炭水化物 9.9g
食塩相当量 0.22g
カルシウム 227mg
【Yakult(ヤクルト)1000】 100ml
エネルギー63kcal
たんぱく質1.5g
脂質0.1g
炭水化物 14.1g
食塩相当量 0~0.1g
【ヨーグルト】(牧場の朝)70g あたり
エネルギー 64 kcal
たんぱく質 2.5 g
脂質 1.5 g
炭水化物 10.2 g
カルシウム 77 mg
商品によって誤差はあると思いますが、全体のバランス的には牛乳が優秀なのかなとか調べてて思ったりしました。
自分が入院したら牛乳を選ぼうとか思いました。
が、牛乳などの水分は嚥下障害で飲めず、ヨーグルトを選ぶしかない。
という場合もあります。
こんな感じで、個々の条件によって戦略は変わると思いますが、知識がないと戦略のパターン自体も狭くなってしまうので、日々勉強は必要・・・
ということで
病中病後のリハでは炭水化物を前投与すべき?
の結論は
・重症病態の病中病後は栄養代謝の障害を考慮すべし
・時にはリハビリ直前に炭水化物の投与を考える
でした。
引用はナイスバルク! 急性期のリハビリテーションと栄養療法 筋トレのエビデンスから考える
でした。
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