1.リハを行っている患者の多くが低栄養状態

・ある急性期病院の1ヶ月間すべての血清アルブミン値を調べると70%以上の検体でアルブミンが3.5g/dL以下
・病院よりリハ施設のほうが低栄養の割合が高い(リハ施設では約50%)
・リハ施設では栄養状態良好はわずか8%
「病院よりリハビリ施設で低栄養の割合が高いというのは、特に注目ですよね。
栄養管理が不十分なまま、リハビリのみを進めることで、栄養状態の悪化を招いている可能性が考えられるかと思います。
やはり栄養士さんなどと連携して、リハビリを進めるのが必須です。」
2.栄養障害の患者に機能改善目的で高負荷訓練を行うと逆効果

・重度の栄養障害に患者にレジスタンストレーニングを行うと筋力が低下する可能性がある
・栄養状態に大きな問題がない患者にしか高負荷のレジスタンストレーニングの効果はでない
・廃用症候群より低栄養の影響が大きい患者もいる
・低栄養の影響が大きいのに廃用改善を目指した高負荷の機能訓練を行うと筋肉量が低下する可能性がある
「廃用症候群と低栄養についても一緒にしてはいけないですよね。
廃用症候群と考えて、どんどんリハビリを進めることで、それが筋力低下に繋がっている可能性もあります。
廃用が原因なのか、そもそも低栄養状態なのかを把握してから、リハビリの目標を立てなければ、逆効果になる可能性がありますよね。」
3.すべてのPT・OT・STに基本的な栄養の知識が必要

・脳血管障害、大腿骨近位部骨折、急性疾患でリハを行う場合は強化型栄養療法を行うことが推奨されている
・2020年の診療報酬改定で、回復期リハ病棟入院料1で常勤の専任管理栄養士の配置が必須とされた。
・リハ実施計画書に栄養補給方法、嚥下調整食の必要性、栄養状態の評価など栄養の項目が追加された
「リハビリ領域においても、栄養士さんの存在はどんどん大きくなっていますよね。
しっかりと連携しつつも、リハビリ職が栄養について学ぶことが求められていると感じます。」
4.リハ栄養とは生活機能やQOLを最大限高めるリハからみた栄養管理+栄養からみたリハ

・リハ栄養の新しい定義が2017年に作成され、障害者だけでなくフレイル高齢者を対象にしたこと、リハ栄養診断・ゴール設定といったステップを追加したことなどが修正点
「フレイルに関しても、栄養状態の管理によって、予防・改善できる可能性があります。
そして診断・ゴール設定といった、明確な目標を持って対応していくことが求められています。」
5.リハに適切な栄養管理を並行すると訓練効果が高まる

・重度のるいそう→機能訓練より栄養改善が優先される
・重度の肥満→機能訓練と並行して減量をすすめる
・肥満+アルブミンやヘモグロビンの低下→侵襲後の低栄養とサルコペニア肥満が疑われる→栄養改善+十分な機能訓練が必要
・肥満だからやせればよい、たくさん運動すればよいというわけではない。
・サルコペニア肥満は体格の割に筋肉量が少ないため、リハ効果がでにくい方もいる
・重度の栄養障害と不適切な栄養管理の結果、餓死することがある
・肥満患者は筋肉でなく脂肪で減量する→エネルギーを少なくしつつもたんぱく質は減らさない
・体重減少+ADL改善→適切な栄養管理。
・体重減少+ADL悪化→筋肉量の減少を伴っている可能性(適切な栄養管理といえない)
・重度の栄養障害→低負荷で廃用予防+機能維持を目指した機能訓練
「栄養状態によって行うべきリハビリ内容も変わってくるということです。
歩かせたいから歩かせるではなく、栄養状態も含めて総合的な目標設定が重要です。
サルコペニア肥満についても、見た目では低栄養とわかりにくい為、注意が必要ですし、脂肪で減量するという目標のための栄養管理も重要になります。
最終的にはADLが改善しているかに着目するのも重要で、ADLが改善していなければ、例え減量や増量できたとしても、それは脂肪の増減であり、筋肉の増減ではない可能性もありますよね。
改めて、栄養状態の把握、リハビリ栄養の知識は今後必須になってきそうですし、資格取得後に自ら学ぶしかない分野なので、自己研鑽が重要ですね。」
◎まとめ

1.リハを行っている患者の多くが低栄養状態
2.栄養障害の患者に機能改善目的で高負荷訓練を行うと逆効果
3.すべてのPT・OT・STに基本的な栄養の知識が必要
4.リハ栄養とは生活機能やQOLを最大限高めるリハからみた栄養管理+栄養からみたリハ
5.リハに適切な栄養管理を並行すると訓練効果が高まる
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