1.知的機能は流動性知能と結晶性知能に分類される
・流動性知能とは応用力や思考の柔軟性、情報の処理能力やその効率によって規定される
・流動性知能は、年齢とともに緩徐に低下すると考えられているが、遺伝的に備わった知能や教育歴などを含む生活史にも影響を受ける
・結晶性知能は経験に基づいた知識の蓄積によって規定される
・結晶性知能は、認知症などで過去の経験の記憶が失われない限りは、加齢で簡単に低下するものではない
出典:老化と摂食嚥下障害 「口から食べる」を多職種で支えるための視点


SOMPO笑顔倶楽部www.sompo-egaoclub.com:画像引用
「流動性知能はもともとの知能や教育歴など生活暦の影響を受けるという点はポイントかと思います。
年齢とともに低下していくのが流動性知能ですが、要するに、加齢による影響より、個人因子の影響のほうが大きいとも考えれます。
元々の個人因子を確認するというのは、改めて重要と感じます。」
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2.加齢が認知機能に与える影響は物忘れ、情報処理速度、個人差と機能による変化の差異に要約される
・過去に獲得された記憶などは加齢による影響を受けにくいのに対して、日々経験する出来事の記憶は、加齢による影響を受けやすい
・情報処理速度は加齢によって低下すると考えられ、思考過程における遅延が課題の遂行速度を遅くする原因
・情報処理速度は低下しても、時間をかければ遂行できるのが加齢による変化であり、認知症による実行機能の障害とは異なる
・加齢による認知機能の変化は個人差が大きく、内因性の要因(遺伝、身体や精神状態)、外因性の要因(教育、職業、趣味、習慣、生活環境、社会とのつながり)などさまざまな要因により影響される
出典:老化と摂食嚥下障害 「口から食べる」を多職種で支えるための視点
「ここでも加齢による認知機能変化は個人差が大きいと述べられています。
入院してきた患者さんに対して、病前の情報を確認するという作業は、その後の目標設定を考える上でも重要ということです。
元々の患者さんの能力を理解しないと、セラピストや医療者側の目標が高すぎたり、低すぎたりする可能性もあるからです。」
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3.認知症の定義
・認知症は、いったん正常に発達した知的機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、複数の認知機能障害があるために、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態であり、これらは意識障害を伴わないと定義される
出典:老化と摂食嚥下障害 「口から食べる」を多職種で支えるための視点

『認知症の基礎知識 改訂版 ①』こんにちは。 非常識精神科医です。 アメリカの精神医学会でDSM5という新しい診断分類が発表されて久しameblo.jp:画像引用
・認知症の水準であるかどうかの境界には、生活障害の有無というきわめてあいまいな判断基準が用いられている
・多くの認知症はゆっくり持続的に進行し、物忘れ(年齢相応?)⇒主観的認知障害(自分でも気になる)⇒軽度認知障害・認知症(物忘れが自覚的、他覚的にも顕在化)という一連の経過を経る
出典:老化と摂食嚥下障害 「口から食べる」を多職種で支えるための視点
「認知症定義のポイントは日常生活に支障をきたしているかどうかです。
よく検査成績結果で判断してしまう医療者がいますが、例えHDS-Rが1桁でも、病棟生活は自立しているという方もいます。
仮にその方が復職をするという場合では、生活に支障がでるかもしれませんが、要するに環境設定によって、生活への支障という評価は変わります。
点数を見て認知症、と思考停止するのではなく、どのような環境設定にすれば、その人が自立できるか考えるのが重要です。」
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4.認知症と年齢相応の物忘れの違い
・認知症では経験した事柄すべてが記憶から抜け落ちるため生活に不自由をきたすのに対して、年齢相応の物忘れはその一部しか脱落せず、生活上はさほど不自由を生じることがない
・年齢相応の物忘れの場合はヒントを与えると思い出せることが多いが、認知症による物忘れの場合は記憶の獲得自体が不完全なので、ヒントを与えても思い出せないことのほうが多い
・認知症では病識を欠くことがおおいが、年齢相応の物忘れやうつによる物忘れでは、本人が忘れることを強調する場合にほうが多い
出典:老化と摂食嚥下障害 「口から食べる」を多職種で支えるための視点

認知症サポートナビ|公益社団法人 射水市医師会認知症のサポートサイト 認知症サポートナビimizu.weblike.jp:画像引用
・認知症の初発症状で頻度の多いものは、物の名前がでてこない(あれ、それなど代名詞の増加、取り繕いが目立つ)、興味関心の喪失、おき忘れやしまい忘れ(頻繁に探し物、一番身近な人を泥棒扱い)がある
・簡単な質問をするなども早期発見の鍵となる
・認知症のスクリーニング検査にはMMSEとHDS-Rがあるが、アルツハイマー型認知症の初期では、日時の見当識と3単語遅延再生において失点がよくみられる
出典:老化と摂食嚥下障害 「口から食べる」を多職種で支えるための視点
「医療者は臨床上でも、認知症か年齢相応の物忘れかと悩むことは多いのではないでしょうか。
家族への病前の情報収集などは手がかりにもなりますが、物忘れの自覚があるかどうかは特に重要かなと感じます。」
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本日の引用は
でした!
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