【まとめ】
・表現型モデルはフレイルを、障害に入る前の老年症候群 として定義。
・累積欠損モデルはフレイルを、障害の累積 として定義
1.欠損累積モデルのフレイルは複数の症候、症状、障害、疾病で評価する

・包括的な因子(症候、疾病、身体機能障害、検査異常など)の存在をカウントしfrailty index(FI)を計算することを提唱している
・能力障害、疾病、症候を重みづけなしに単純に加算して、フレイルの有無ではなくindexとして連続的にfrailtyの集積度を数値化し評価する
Rockwoodらはフレイルを臨床的に介入法の選別、生命予後や施設入所のリスク予測することを目的として、包括的な因子(30から70項目で症候、疾病、身体機能障害、検査異常なども含む)の存在(異常・不能の有無)をカウントしfrailty indexを計算することを提唱している。このモデルはdeficit accumulation model (障害(欠損)累積モデル)と言われる
出典:第4章 栄養 4.フレイルと栄養 | 公益財団法人 長寿科学振興財団 (tyojyu.or.jp)

より画像引用
「おそらく自分がよく目にしていたフレイルの基準は表現型モデルの方だったかと思います。
比較的容易に評価できる点では表現型モデルがイメージしやすかったです。
ですが、欠損累積モデルは評価に時間がかかる分、あらゆる状態の高齢者でも、細かく評価できる。
ケースバイケースだと思いますが、こちらの方法が使える環境が整っているなら、目的に応じて使用していくべき方法だと思われます。」
2.欠損累積モデルのフレイル評価により、生命予後、ADL低下、入院、入院期間、手術の成績などを予測することが可能

・地域在宅高齢者に関しては生命予後、ADLの低下、転倒、入院、認知症発症の予測として関連しているとの報告あり
・入院中の高齢者では生命予後、介護施設入所、在宅日数の予測因子と関連しているとの報告あり
・術前のフレイル状態は一般外科における術後の死亡、合併症、在院日数などに関連しているとの報告あり
「欠損累積モデルの良いところである、あらゆる方に使用できる評価法という点では、入院中の高齢者にも生かすことができます。
表現型モデルは要介護高齢者には向かないというデメリットがあります。
欠損累積モデルは病院勤務が多いセラピストも知っておくべきモデルであり、臨床での予後予測や環境設定にも生かせるモデルなのでは?と思われます。」
3.欠損累積モデルのフレイルは表現型フレイルと同様にメリット、デメリットがある

メリット
・高齢者の障害の状態、生命予後、ADL、入院、手術成績などのリスク把握に有用
・あらゆる状態の高齢者の評価に使用可能
・目的に合わせて評価項目を変更できる
・高齢者総合機能評価とリンクできる
デメリット
・評価に時間がかかる
・自立(健常)に導く介入方法は乏しい
・評価項目が異なる別々の研究の比較検討が困難
「フレイルの概念は予防分野での考えというイメージが強かったです。
おそらく表現型モデルで考えるなら・・・ということだと思います。
表現型モデルはフレイルを、障害に入る前の老年症候群 として定義。
累積欠損モデルはフレイルを、障害の累積 として定義。
入院患者さんで考えるならば、後者の考えで、少しでも累積が減るようにリハビリし自立支援・・・と考えていくことがよいでしょうか。
まだ序盤なので学びながら引き続き発信していきます。」
本日の引用は
でした!
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