1.ICF-Dieteticsの日本語訳と臨床現場への導入が今後、日本でも重要となる

・ICF-Dieteticsというのは、オランダ栄養士会が開発したもの
オランダ栄養士会では、ICF-Dieteticsを開発しました。ICFの心身機能には、b510摂食機能、b515消化機能、b520同化機能、b530体重維持機能、b540全般的代謝機能、b545水分・ミネラル・電解質バランスの機能といった栄養状態の項目が含まれています。しかし、ICFだけでは栄養評価が不十分であるため、ICF-Dieteticsが開発されました。栄養ケアプロセスとICF-Dieteticsには、共通点が多いです。
出典:https://healthy-food-navi.jp/?post_type=read&p=3991
・開発の背景はICFの一部に栄養関連の項目が含まれているが、それだけでは栄養診断など栄養ケアプロセスとしての用語が不十分であるため。
・ICF-DieteticsはICFをベースにしているが、変更点が少なくない。
「日本語訳はまだ無いようなので、すぐに臨床に取り入れるのは難しいかもしれませんが、情報として頭に入れておくのは良いかと思います。
そしてそもそも、ICFの心身機能に、摂食機能・消化機能・同化機能・体重維持機能・全般的代謝機能・水分・ミネラル・電解質バランスの機能といった栄養状態の項目が含まれていることを知りませんでした・・・
皆さんは知ってましたか?
こういったことを自分でも実践しながら、レポートを作成する学生さんなどにも教えてあげられるようになりたいですね!」
2.身体的フレイルの主な原因は、サルコペニア、低栄養、ポリフォーマシーである

・身体的フレイルの診断基準は
①体重減少(6ヶ月で2kg以上)
②倦怠感
③握力(利き手で男性28kg未満、女性で18kg未満)
④歩行速度(1m/秒未満)
⑤活動量(1週間に一日も運動していない)
→5項目中3項目該当すれば身体的フレイル、1‐2項目該当すれば身体的プレフレイルと診断する
・ポリフォーマシーとは単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連した薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って服薬遵守すること)低下などの問題につながる状態。
・栄養状態はフレイルと関連がある
・微量栄養素、特に血清ビタミンD低値はフレイルのリスクとなる
・地中海食をはじめバランスのとれた良質な食事はフレイルを予防する可能性がある
・栄養教育、栄養補助食による単独介入の効果は弱く推奨する
・運動療法と栄養補助製品との併用療法は推奨する
「フレイルは認知症同様に、今後社会問題化していく可能性もあると思います。
ですが、フレイルの特徴は可逆性があること。
つまり、早期の対応で改善する可能性があるということです。
フレイルにも精神・認知・社会性などの要素もありますが、身体的フレイルが最も分かりやすく、当事者も気づきやすいかと思います。
どんな対応に予防効果があるのかを、単に運動しましょうだけではなく、栄養管理も含めてアドバイスできることで、有効性は絶対に増しますよね。
介護予防事業には、一人で行く場合もあると思うので、ある程度の広い知識がなければ、偏った指導になる可能性があるので、専門性も大切ですが、広い知識と柔軟的なアドバイスも求められると思います。」
3.医原性フレイルとは、医療行為、薬剤有害事象、医原性疾患などによるフレイルである

・病院での「とりあえず安静・禁食」→身体活動量低下
・病院での「とりあえず禁食・水電解質輸液のみの点滴」、薬物有害事象による食思不振→食事摂取量低下、低栄養
・医原性サルコペニア→サルコペニア
・病院での「とりあえず義歯外し」によるもの、不適切な義歯製作→オーラルフレイル、義歯不適合
・薬剤性フレイル→ポリファーマシー
「目の前のリスク管理も大事ですが、活動を制限することが積み重なってより大きなリスクになることも知っておくべきですね」
基本的に医師の指示のもとの医療行為などで、対応しようと思っても難しい点は多いですが、とりあえず義歯はずしについては、自分たちでも注意できそうな点ですよね。
義歯を付けないことで咀嚼機能の低下を招き、柔らかい食事中心になり、栄養状態が低下し、全身のフレイルに繋がる。
また義歯を外していることで、義歯が合わなくなってしまう。
などのリスクを理解していれば、対応も変わってくると思いますので、まずは知識共有が重要かと思います。
この点も協力がなければ一人では対応できない点なので!」
*まとめ

1.ICF-Dieteticsの日本語訳と臨床現場への導入が今後、日本でも重要となる
2.身体的フレイルの主な原因は、サルコペニア、低栄養、ポリフォーマシーである
3.医原性フレイルとは、医療行為、薬剤有害事象、医原性疾患などによるフレイルである
本日も引用は
PT・OT・STのための リハビリテーション栄養 第3版 基礎からリハ栄養ケアプロセスまで
でした!
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