1.薬剤性の嚥下障害として、唾液の分泌抑制による口渇、運動機能の障害、意識レベルの低下がある

・抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、血圧降下薬、抗精神薬など多くの薬剤が口渇を副作用とする
・抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗不安薬などは、中枢神経系の神経伝達物質に作用するため、副作用として摂食嚥下機能の運動機能を妨げる
・抗精神病薬や抗不安薬は、意識レベルの低下をもたらすことで、摂食嚥下機能に悪影響を及ぼす
「嚥下機能は保たれており食事摂取はできるものの、認知機能が低下しており、病棟生活で落ち着かない。
そのため抗精神薬が投与され、病棟生活は落ち着くものの、薬剤性の嚥下障害を引き起こし、経口摂取が困難となる。
経口摂取が困難となることで、経鼻経管栄養となるが、違和感から管を抜こうとしてしまい、ミトンが装着される。
ミトンが装着され、病棟生活は臥床傾向となり、身体、口腔ともに廃用が進み、最終的には誤嚥性肺炎を引き起こす。
このようなケースは考えられるのではないでしょうか?
薬剤の影響というのはある意味恐ろしいものです。
薬剤は医学の進歩ですし、正しく使用することで良い効果を生むことも多いですが、逆に医原性の嚥下障害などに繋がる可能性もあります。
特に抗精神病薬の副作用は、口渇、嚥下運動機能低下、意識レベルの低下と全ての医原性嚥下障害の原因に関係してくるので、要注意ですね。
急に嚥下機能が低下したと思ったら、まず薬剤性の嚥下障害を疑い、服薬の確認をするというのは必須です。」
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2.嚥下の間接訓練の目的は①筋力増強②機能向上③感覚促通の3つに大別される

・摂食嚥下障害者では、摂食嚥下機能に関連する筋肉の廃用萎縮が起こっている場合が多い
・筋力訓練の目的は摂食嚥下機能に必要な筋群の強化であり、代表的なものとして頭部挙上法訓練と舌筋力訓練がある
・頭部挙上訓練は、嚥下時に喉頭を挙上させる重要な筋群であるオトガイ下筋群の筋力強化を目的とする
・舌挙上訓練は舌の筋力増強により、嚥下機能が高まり、誤嚥のリスクが低下すると報告されている
*訓練法のまとめ(2014 版)
日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会↓
タイトル未設定www.jsdr.or.jp
「嚥下の間接訓練については頭部挙上訓練などエビデンスレベルの高いものもありますが、そうでないものもあると思います。
頭部挙上訓練は負荷が多少高いため、頚椎症や高血圧患者さんには注意が必要で、入院中の患者さんなどでは、実施ができない方もいます。
ですが嚥下おでこ体操という、頭上挙上訓練より負荷が少ないものもありますし、最近では舌圧が嚥下機能に大きく影響するというのもよくききます。
ただ口腔体操をやるだけではなく、目的を意識しながら、その人に合わせた間接訓練を選択するのが重要です」
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本日の引用は
でした!
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